諒と美幸の甘いカクテル

□諒兄禁止!?
2ページ/4ページ

あれは、初めて2人が結ばれた沖縄から戻り、美幸の部屋で愛し合った夜の事。

愛を交わし始めて直ぐだった。

急に橘の手が止まり、ため息混じりの声がした。

美幸は、目を開けて愛しい人の姿を求める。

橘は、愁いを帯びた瞳で自分を見ていた。

「なぁ…美幸
今日からベッドの上での"諒兄"は禁止にしよう」

「えっ?どうして?」

「ん?諒兄と呼ばれながら、お前を抱くのは…

その…なんだ…

気分がな…

罪悪感が先に立つんだ。

特にこの部屋はな。

だから…諒兄は止めてくれないか?」

「じゃあーなんて?
諒(アキラ)さん?それとも…?」

「美幸に諒さんなんて呼ばれるのはガラじゃない。

せめて諒(アキラ)…いや、諒(リョウ)にしてくれ」

「うーん。頑張ってみる」

しかし長年呼び慣れたものを修正するのは難しい

気を抜くと口から出るのは呼び慣れた呼び方になる。

当然ベッドの上では難しい。


それでだろう。
式を挙げた日の夜、業を煮やした橘が言い出した。

「これからはベッドの上で諒兄(リョウニイ)と呼んだらお仕置きをする」

「えー。嫌よ。そんなの」

「そうでもしなきゃ直らないだろう?

神にも誓った事だしな今夜から実行だ」

「嫌だ 無理よ…ゆき、不器用だもん」

「ん?なら、普段も諒兄は禁止だ。但し普段は呼び間違えてもお仕置きはなし。お仕置きはベッドの上だけ。どうだ?」

「どうしても?」

「ああ。どうしてもだ」

「うん…」


あの夜以来、名前で呼び掛けるよう気を付けていた美幸だったが、寝起きを襲われ、うっかり呼んでしまった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ