Clap Novel

□聖夜物語2011
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*クリスマスシーズン限定小話その2!!!








***************

「見て見てがくぽ!!!サンタさん!!!」

「何でコレ全身タイツ・・・ん?どうしたのルカさ・・・」

12月になり、本格的なクリスマスシーズンに入ったある日の事。

何やら楽しそうなルカの声が、夜更けのボカロ一家の居間に響いていた。

可愛らしいサンタクロースの衣装を着て、居間へと入ってくるルカ。

そんな彼女の姿を見たがくぽは、目を見開くとこう言った。

「・・・あー・・・何、そういうプレイがやりたか「そんな訳ないでしょバカ!!!変態!!!もういい着替えてくる!!!」

「嘘!!!嘘です!!!凄く可愛いし似合ってるよルカさん!!!だからさ・・・ホラ、機嫌直して?」

「・・・知らないっ!!!」

「そんな事言うなって・・・俺の分だって用意してくれたんだろ?」

「・・・それを用意したのは、カイト君よ?」

どうも彼女とお揃いらしい、自分に渡されたトナカイの衣装を見て彼はそう続ける。

しかし、ルカからの答えを聞く限り、何やら面倒な展開になりそうな気がしてならない。

「・・・がくぽ?」

「・・・何でもないよ」

キョトンとして自分を見てくる彼女に優しく微笑み、がくぽは小さく息をはいた。

「・・・何かね、メイコさんに言われたんだけど・・・今の内から雰囲気を作っておくといいって「あ、ルカちゃん早速着てみたんだ。似合ってるよ」

暫くして、カイトが言いながら居間へと入ってくる。

彼の手には、何やら手紙らしい物が数枚握られていた。

「ありがとう・・・あの、カイト君・・・それは?」

ルカが尋ねる。

「ん?これは子供達からの・・・手紙だよ。サンタクロースに宛てたね」

カイトの説明に、合点がいったがくぽとルカ。

どうやら、カイトとメイコが事前に事を進めておいてくれたらしい。

「・・・プレゼントの参考にしろって事か」

「そういう事」

カイトから手紙を受け取った2人は、早速文面を確認してみた。

最初の手紙はリュウトだ。

『サンタさんへ

僕の名前はリュウトです。

5歳のボーカロイドで、他の皆よりは年下です。

そのためか、余り歌がないというか・・・代表曲のような物がありません。

なので、この曲といったら僕の名前が出てくるような、代表曲が欲しいです。

僕に代表曲を下さい。

リュウト』

「「・・・・おっも・・・・」」

手紙を読み終わった2人は、思わずこう呟いていた。

「5歳児ってもっとこうさぁ・・・"○○戦隊のロボットが欲しい!!!"とか、可愛いお願いしない?」

「・・・何気に漢字も使ってるわ」

とりあえずリュウトの件は保留にして、次にミクの手紙を読んでみる。

彼女の手紙にはこう書いてあった。

『Dear サンタさん!!!

こんにちは初音ミクです!!!

好きな物はネギとマスターで、どっちか選べって言われるとちょっと迷・・・ううん、ネギはマスターの次に好き!!!1番はマスター!!!

そんな訳で、今年のプレゼントは・・・迷ったんだけどマスター関係の物がいいなぁ・・・

マスターと1日過ごせる権利とかマスターの1日を綴った本とかマスターの○○○とか!!!!

あ、無理だったからってネギの詰め合わせとかは止めてねー!!!

貰うんだったらやっぱり物がいいかなぁ・・・

よろしくお願いしまーす!!!』

「・・・おいコレ、本当にサンタ宛か?(特に後半)」

「ミクちゃんて、案外アンタに近い部類なのかもね」

「・・・どゆこと?」

「自分の胸に聞くか、ヤホー辺りでググって下さい」

険しい表情で手紙を読み進めていく2人を、カイトは脇で面白そうに眺めていた。

年少組からの手紙は、実に参考にならない内容ばかり。

メイコとルカを模した抱き枕が欲しいだの、今年の冬の戦場への参加権をよこせだの、男らしい声とか体とか身長が欲しいだの・・・

去年まで自分達が体験した事を、がくぽとルカ・・・この2人は、どうやって乗り越えるのだろう。

「皆、個性があって中々楽しいわね!!!期待に応えられない方が多いだろうけど・・・喜んでくれるかな?」

全部の手紙を読み終わったらしい、ルカがクスクス笑いながら言う。

「喜ばせるんだよ。ここまで好き勝手やられてるんだ、俺らも好きにやらないと・・・そうだろ?」

「・・・そうね!!!」

彼女のそんな言葉に、がくぽは不敵に笑ってそう答えた。

どうやら、子供達に対抗するつもりらしい。

「・・・フフフっ、面白いクリスマスになりそう」

楽しげにプレゼント決めを始めたがくぽとルカを見て、カイトが呟く。

何があろうとも、それを物ともせずに逆に楽しもうとする・・・そんな2人なら、きっと楽しいクリスマスを演出してくれるだろう。

彼は微笑み、静かに立ち上がると居間から出ていった。

クリスマスまで、後半月。












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