Clap Novel
□1月拍手まとめ -ver2012-
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今年は、少しだけ違ったお正月を・・・
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「・・・ミクちゃん達、今頃何してるんやろかー」
「美味しいご飯、食べてるんじゃないかなぁ?」
「そうですねー。今日は、帰って来ないんでしょうか?」
「向こうに泊まってくるらしいぞ。帰って来るのは明日の昼頃になるってさ」
今年も後数時間、もうすぐやって来る新年・・・今日は1年という括りの終わりと始まりの日、大晦日。
居間のこたつでお茶を飲みつつ、そんな話をしていたのはリリィにリュウト、グミ、がくぽの4人だった。
今家には、彼ら4人以外誰もいない。
カイトやメイコを始めとする・・・クリプトン出身の家族は、自社の新年のパーティーに出かけていたのである。
本来、参加は特に強制ではないのだが、今年はマスターが宴の席でデモソングを披露しなければならなくなってしまい、嫌でも参加せざるを負えなくなってしまったのだ。
数時間前、申し訳なさそうな表情で話をしてくれた、マスターやメイコ達の表情が思い出される。
「特に気にしてなかったけど、こうなるとアレやなぁ・・・会社の違い、気にせざる負えなくなるわ・・・」
お茶をすすりつつ、こう口を開いたのはリリィだった。
彼女達が気にしていたのは、自分達の兄・・・がくぽの事。
彼はきっと、ルカと一緒に年を越したかったはず。
しかし、会社が違う・・・そんな理由で、今年はそれが叶わないのだ。
「・・・がくぽのお兄ちゃん、寂しくない?僕、お兄ちゃんと一緒に寝るよ?」
リュウトも言い、がくぽの服の袖を引っ張ってくる。
ルカと年を越せないのは確かに寂しいが、仕事なら仕方ない。
それに、会えないのは1日なのだからと特に気にしないようにしていたのだが、自分以外の家族はそうは思っていなかったようだ。
「そんな心配すんなって。明日には帰ってくるんだから・・・大丈夫、寂しくなんかないよ」
心配してくれたリュウト達を安心させるように、がくぽは微笑むと言う。
「・・・ならええけど・・・あ!!がくぽお兄、もしアレなら私の手作り人形あるで?使う?」
「誰が使うか!!!てか、何で作ってんだよ!!!」
そんなやり取りを交わしているうちに、新年までもう後数分という時間になっていた。
テレビでやっている番組も、来る新しい年へ向かって盛り上がってきている。
そんな中、がくぽはふとある事を思い出した。
「・・・先輩?」
突然立ち上がった彼に、グミが不思議そうにそう尋ねる。
「玄関の鍵が開けっ放しだったの忘れてたわ。ちょっと、閉めてくるよ」
そんな彼女にがくぽは笑顔で答えると、居間から出て行った。
「・・・うー・・・寒・・・」
暖房の効いていない玄関はとても寒い。
がくぽは呟き、ドアノブに手をかける。
ほぼ無意識に開けたドアの先、その景色は雪がちらついていた。
「・・・雪か・・・珍しいな・・・」
写メでも撮って、ルカに送ってあげようか・・・そう思ったその時。
「・・・え・・・えぇ!?何で、おまっ・・・うぉぶぅうっ!!!!」
突然飛び込んできた桜色に、がくぽの体は押し倒されたのだ。
幸い、玄関に倒れ込んだし自分が下になっていたため、飛び込んできた側に怪我はないだろう。
それより・・・
「・・・ルカ!?どうして「はぁっ・・・はぁっ・・・あぅう・・・っ・・・クシュン!!!!」
帰って来ない筈であった彼女・・・ルカがどうしてここにいるのだろう。
がくぽは色々と問いかけたかったが、彼女の方がそれどころではなかった。
髪や肩といった至るところに雪がつき、首にマフラーすら巻かれておらず、体も冷えきっている。
激しく肩を上下させて呼吸をしているという事は、走ってきたのだろうか。
「る、ルカ・・・とりあえず、先風呂に「嫌っ・・・」
「・・・・え・・・・?」
「嫌なの・・・わたしっ・・・わたし、やっぱりっ・・・」
そんなルカを落ち着かせようと、口を開いたがくぽを彼女がさえぎる。
今にも泣きそうな表情で、ルカはこう続けたのだ。
「がくぽと一緒じゃなきゃ嫌ぁ・・・!!!」
その言葉に大きく見開かれたがくぽの瞳。
彼女が何を言いたいのかなんて、考えなくてもわかる。
「・・・・お前・・・・」
チラと腕に着けていた時計を見てみると、新年まで後・・・数秒だった。
耳を澄ませば、居間からテレビのカウントダウンの声が聞こえてくる。
「・・・・ルカ」
がくぽは微笑み、優しい手つきでルカの頬に手を伸ばす。
「・・・一緒に年、越せたな。明けまして・・・おめでとう」
「・・・・え・・・・」
「ホラ、時間」
がくぽの言葉に、ようやく彼女の顔に笑みが浮かんだ。
「・・・良かった・・・間に合った・・・一緒に年・・・迎えられた・・・!!!」
「良かったじゃないよ。こんなに体冷やして・・・新年早々風邪引いたら元も子もないぞ。まずは風呂に「いや」
彼のそんな言葉をさえぎって、ルカはキュッとがくぽにしがみつく。
「ちょ、ルカさ「離れたく・・・ない」
まさか、新年からこんなに甘えてくれるとは。
「・・・新年から甘えたさんだね。寂しかったの?」
彼女を温めるように体を擦りながら、がくぽは言う。
「・・・違うもん」
「全く・・・素直になれって」
そのまま、彼は小さく微笑むとルカを引き寄せ、その唇に優しく口づけた。
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*長くなったのでオマケ的な←
「・・・っ・・・はぁっ・・・んぅ・・・」
心地良い温もりが段々と熱を帯び、離れては重なる唇から息がもれる。
新しい年を迎え、どれ位の時間が経ったのだろう。
「・・・何でしょうか、玄関で音・・・しましたよね?」
「誰か帰って来たんちゃ・・・」
玄関が騒がしい事に気づいたのだろう、居間から顔を覗かせた・・・グミにリリィ、リュウトの3人。
消えた声の先、年頃の少女達の視線はハッキリと捉えていた。
玄関先に重なる、2人の男女の姿・・・おそらく、1人はここにいないがくぽだろう。
そして、彼が"あんな事"をする相手といえばルカしかいない。
「・・・アツアツやねぇ・・・うん、やっぱあーでないとなあの2人は。んで、リュウト君、君にはまだ早い」
「ふえぇぇ!?」
「・・・私達、お部屋に行きましょうか」
リリィとグミ、2人は顔を見合せ嬉しそうに微笑むと、リュウトを連れて自分達の部屋へと向かった。
勿論、がくぽとルカの幸せな時間を邪魔しないように。
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イチャイチャ通り越して、危ないラインに突入しつつある兄と義姉、を見てニヨニヨ・・・否 実は凄く嬉しい妹達を書きたかったんです←
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どぞ!!!!!
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