Clap Novel
□1月拍手まとめ
4ページ/4ページ
―――巡り巡って
ようやく出逢えた
愛しき君へ。
1月29日。
あと数分で、日付が変わろうというそんな時間。
ベッドに潜り、今正に眠りに落ちようとウトウトしていたルカの意識を、ドアのノックの音が覚醒させた。
「・・・・・っ・・・・・」
何事かと思い彼女は顔を上げたが、温かいベッドからどうしても出る気になれない。
訪ね人はおそらく・・・・・。
ならば、明日ちゃんと理由を話せばきっと許してくれるだろう。
そう思って、ルカは無視を決めこむ事にした。
しかし、音は止むどころか一層激しさを増して彼女の部屋に響き渡る。
このままでは、他の皆も起こしかねないような騒音。
ルカの我慢ももう限界だった。
勢いよく部屋のドアを開け、声をあげる。
「ちょっと!!!今何時だと思ってるのよ!!!!皆にめいわ「良かったぁ間に合った!!!!はぁ・・・焦った・・・」
さえぎられた声に視界に飛び込んできた紫。
ルカは大きく目を見開いた。
それもそのはず。
彼女の体は部屋に飛び込んできた張本人・・・がくぽによって、しっかりと抱きしめられていたのだから。
「がっ・・・がく「5」
再びルカの言葉をさえぎって続けられたのはカウントダウン。
一体、この男は何を考えているのだろう。
困惑する彼女に構わず、カウントダウンは進む。
「4、3、2・・・1!!」
そして、ゼロのかけ声と共にルカはがくぽの腕から解放された。
しかし、彼の腕は未だしっかりと彼女を掴んでいる。
真っ直ぐにルカを見つめ、笑顔でがくぽは言った。
「1月30日、誕生日おめでとう♪ルカ」
「・・・・・・え・・・・・・」
その言葉にルカの目が再び大きく見開かれる。
訳がわからず、口をぱくぱくとしか動かせない彼女を見、がくぽが首を傾げた。
「ルカ・・・もしかして忘れてる・・・?」
「なっ・・・何・・・を?」
「自分の・・・誕生日」
彼の言葉にルカは自分の記憶を辿る。
そういえば、最近周りが騒がしかった気がしないでもない。
合唱で一緒に仕事をした巡音ルカは、『マスターと誕生日パーティーをするの!!!』とか言っていたし・・・
「・・・・誕生日」
オウム返しでその単語を口にしたルカを優しく撫で、がくぽは言った。
「・・・そう。今日はルカの誕生日・・・お前が生まれた日だよ」
「何で・・・がくぽがその事を・・・?」
ルカは問う。
彼女が自分の誕生日に関心が薄いのは、自分が一家にインストールされた日が別の日だったからだ。
まさか、自分自身が生まれた日の事を知っているなんて・・・
そんな彼女の様子に、がくぽは苦笑して答えた。
「当たり前だよ。ルカだって、俺の誕生日祝ってくれたじゃないか。それに・・・皆だって祝う気満々だぞ。で、俺は1番に祝いたかったから、強引にお邪魔させていただいた訳で・・・・」
「それはがくぽの「俺も、インストールされた日は自分の誕生日じゃなかったよ」
ルカは驚いたようにがくぽを見上げる。
「まさか本当に誕生日忘れてたなんて・・・てか、知らなかったの?」
優しく細められた瞳。
そんな彼の姿に、ルカはある事に気づいた。
いつも温かいはずのがくぽの体がやけに冷たいし、少しばかり息も荒い気がする。
そして、今日は仕事が遅くなるかもと言って家を出ていた・・・
「がくぽ・・・まさか・・・!!!」
目を見開いてルカは言う。
「・・・どうして・・・!?」
がくぽは家に着いたその足で、自分に会いに来てくれたのだ。
「どうしてって・・・言ったじゃん。1番に祝いたかったんだって」
「そんな・・・いい・・・!!そんなにしてくれなくても「そんな事・・・言うなよ」
そんな彼を気遣うようにルカは言うが、その言葉はまたしてもさえぎられてしまう。
引き寄せられ、気づいた時にはがくぽの顔が目の前に迫っていた。
優しい手付きで顔の輪郭をなぞられ、顎を上げさせられる。
瞬間。
ルカの唇に彼の唇が重なった。
動きたくても、自分の体は・・・頭も、がくぽによってしっかり固定されている。
―――永い。キスが、永い。
「・・・っ・・・んんっ・・・」
息が苦しくて、思わず彼女は声をあげる。
それに気づいたのか、がくぽの腕の力が緩んだ。
「・・・はぁ・・・っ・・・ぁ・・・「あー・・・ごめん、ね?苦しかった?つい、いつもの調子で・・・」
「・・・いつもって・・・何」
「・・・え、おはようのちゅ「言わなくていいっ・・・!!!」
顔を真っ赤にして言うルカに彼は微笑む。
彼女には悪いが、まだまだ解放する気はない。
続いて、がくぽはまだ息の整っていないルカをきつく抱きしめる。
「なっ・・・苦しっ・・・「ルカ」
身動ぎをする彼女に構わず、彼は耳元で囁いた。
「俺に・・・・逢いに来てくれてありがとう」
その言葉に、ルカの動きが止まる。
「ルカに逢えて・・・・・嬉しい」
沈黙。
「・・・あれ・・・?ルカさ「馬鹿ぁ・・・!!!!」
キョトンとして声をあげたがくぽをルカがさえぎる。
「何・・・何それっ・・・そんな事いっ・・・言わっ・・・」
見開かれるがくぽの目。
彼女・・・ルカは泣いていたのだ。
「え!?ルカさ「どうしていいか・・・わかんないじゃないっ・・・馬鹿じゃないの・・・?馬鹿ぁ!!クソなすびぃ・・・!!!!」
ルカは声をあげる。
素直じゃないのに、こんな自分なのにがくぽは言ってくれたのだ。
――逢いに来てくれてありがとう、逢えて嬉しい と――
その言葉は、彼女にとって嬉しいという言葉以外では表せないものだった。
「馬鹿ぁ・・・!!!どうしてくれるのよぉっ・・・!!!」
その想いが大粒の涙となり、頬を伝っていく。
「ちょ・・・え!?ルカ、ルカ待って!!何でお前泣い・・・おい、泣きやめってば、ね?ルカ、ほら、ルカさん?」
そんなルカにがくぽは慌てて言い、あやすように背中を擦る。
まさか泣くとは思っていなかった。
なんとかして彼女を泣き止ませなければ・・・。
「えぇと・・・下に買ってきたケー・・・キあるけど太るか・・・」
そうは思うものの、いい言葉が見つからない。
「じゃあ・・・添い寝・・・とか「食べる・・・っ」
「・・・え・・・?」
さえぎられた言葉にがくぽは目を見開く。
ルカはしゃくり上げながら続けた。
「・・・ケーキっ・・・添い寝・・・添い寝もしろっ・・・後それから・・・今日は・・・1日付き合ってもらうからっ・・・プレゼントもっ・・・行きたいトコ行って・・・それから、それから「うん」
彼女の言葉にがくぽははっきりと言った。
「・・・他には?他にはないの?」
流れる涙を拭いながら、続けてそう尋ねる。
「・・・連れてって・・・」
「・・・うん?」
「下っ・・・ケーキっ・・・食べるんだからっ・・・」
「・・・お姫様抱っこで・・・いい?」
「・・・任せる・・・」
「・・・じゃあそういう事で」
言うなり、がくぽはルカを抱き上げた。
相変わらず彼女は泣いていたが、どこか表情は幸せそうだ。
「・・・今は・・・これだけでいい」
「他にもあるって事?・・・まぁいいや。じゃあ・・・俺からもいい?」
「・・・・何?」
「そろそろ、笑った顔を見せてよ。それから・・・・」
―――プレゼントは、俺でもいいですか?
(・・・・ナスはいらない)
(・・・・俺はナスじゃねぇ!!!)
*************
とにかく愛が暴走した結果生まれた作品です。
私の想いもがくぽが代弁・・・してくれたかな?←
まぁ、これからも仲良く・・・していって欲しいですね。
ハイ。
ではでは、長文でしたが閲覧ありがとうございました!!!
・