リクエスト小説

□想い、次元を越えて
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『・・・ミクは・・・わたしを助けてくれたんだ』

「・・・・え・・・・?」

その言葉に、ルカは目を見開く。

『カイトとメイコを上手く歌わせてやれなくてさ。でも・・・そんなわたしに、あの子は言ってくれた』

マスターは続ける。

ミクと出会ったのは挫折している最中だった。

上手く歌わせられない、良い歌が創れない、そんな時に彼女に与えた1曲の歌。

自分ではとても良い出来だとは言えない曲だったのに、ミクは笑顔で言ってくれたのだ。

『・・・"こんな素敵な曲が初めての歌で嬉しい"ってね』

「そんな事が・・・あったんですね」

『今はいい思い出さ。それからだよ。あの子を・・・只の"電子の歌姫"だと思わなくなったのは』

マスターの目は、昔を懐かしむように優しく細められている。

ルカは何も言わず、マスターを見つめていた。

『歌や・・・こうして話す事しか出来ない・・・そうする事でしか彼女と繋がれない・・・だけど、わたしにはそれが堪らなく愛しい。失いたく・・・ないんだ』

マスターも、ミクとの想いを結ぶのは難しい事だとわかっている。

それでも、彼女を想わずにはいられない。

彼女は自分を挫折という闇から救ってくれたのだから。

1番欲しいと思っていた言葉を・・・言ってくれたのだから。

自嘲気味にマスターは笑ってルカを見る。

『・・・そんなマスターなんだ。"わたし"は。ああ、勿論皆も「それでいいと思います」

ほぼ無意識に、彼女の口から言葉が出た。

「だって・・・ミクちゃんはマスターの傍に、ずっといてくれるんですから」

そう。

マスターが望む限り、自分達は・・・ミクはここにいる。

「それに、会う場所だって・・・ゆっ・・・夢とか・・・『あはは』

ルカの言葉をさえぎって、マスターの笑い声が響く。

『そう思えるようになったのは・・・がくぽのおかげ?』

「・・・・え!?ちっ・・・違っ・・・!!!」

『ごめんごめん、冗談だよ。ありがとう・・・ルカ』

「え・・・あ・・・いえ「マスターただいまー!!あっ、ルカ姉!!!」

口を開きかけた彼女の声は再びさえぎられた。

「起きてたんだ!!ここは寒いでしょ?居間行こうよ!!一緒にマスターとお話ししよう!!マスター、今日朝ご飯一緒に食べれるんですよね?」

嬉しそうに顔を綻ばせ、ルカ達に近づいて来たのはミクだ。

『ああ、一緒に食べれるよ』

彼女の問いにマスターは笑顔で答える。

「やったぁ!!!今日の朝ご飯はね、えっと・・・」

「今日はがくぽが作る日よ」

「だってマスター、がく兄の料理は美味しいんだよ?勿論、ルカ姉のも美味しいよ!!!」

『そうか。楽しみだなそれは』

朝日に照らされ、幸せそうにしているミクを見ていると、こちらまで幸せな気分になる。

ルカは微笑み、2人をじっと見つめてこう願った。

次元を越えたこの恋が、ずっとずっと続いていってくれる事を。













(想いは次元を越える。そんな2人の幸せを、私は願っています。)





・・・fin...




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