その他小説

□再会の昼下がり
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*3年後ネウヤコです。


「ふあー・・・今日は大変だったなぁ・・・話が全然通じなくて」

「・・・貴様以上に低脳な人間がいたとはな・・・驚きだ」

「・・・失礼ね!!!そういう事は私の勇姿を見てから言いなさいよ!!!」

穏やかな昼下がり、探偵事務所と名乗るビルの一室ではこんな会話がなされていた。

隣にいる魔人・・・ネウロが帰ってきてからは、探偵業と彼がいない間に始めた"助手無し"の探偵業(アヤ曰く交渉人、との事)の2つの仕事に追われる日々。

今日も"探偵"桂木弥子は、1人での仕事をこなしてきたのである。

「・・・魔力、体力の無駄だ。そもそも、我が輩には退屈な時間この上ない」

「まぁ・・・内面だからね・・・人間の。色々と醜い部分というか・・・ネウロは知らない方がいいかも」

「・・・・む」

弥子の言葉に、ネウロはきょとんとし彼女を見つめる。

確かに、自分には人間の繊細な感情や内面的な概念は理解できない。

「・・・私、嫌だとは思ってないよ?寧ろ、知りたいというか・・・話は、聞きたいなって思う」

表面的な概念・・・事象に至る過程をネウロが暴くなら、自分は事象の引き金となる概念・・・内面的な部分を暴こう。

いつか、この2つの概念が複雑に絡みあった"謎"に出会った時、少しでも傍らの相棒の手を煩わせないように。

「・・・ふむ。ゴミ虫にしては、素晴らしい向上心だ」

「あはは・・・そりゃどーも」

自分が魔界に帰っている間に流れた時間は、予想以上に"成長"をもたらしていたらしい。

真っ直ぐに自分を見つめ、言葉を紡ぐ弥子の姿は見ていて好ましい・・・のだが。

「・・・・・・」

「・・・ネウロ?」

成長を見るのは、好ましいはずで自分も望んでいた事なのに。

3年前には感じなかった"虚無感"がここにあった。

「・・・ゴミ虫め」

「え、ちょ 何?私、何かした?てか、ゴミ虫卒業したんじゃないの・・・あれ・・・?」

残念な事に、魔人である自分には理解出来ない感情。

弥子が話をするたび、その成長を見るたび、3年前とは違う反応を返されるたびに感じる高揚感、満足感、そして・・・虚無感。

相反するそれらに、全く嫌悪感は感じない。

寧ろ、面白くてたまらない。

「・・・フハハ・・・ヤコよ」

「はいはい何ですかって痛い痛い!!!折れる!!!腰!!!バキバキいって「疲れているのでしょう、先生?マッサージして差し上げますよ♪」

「マッサージ違う!!!!何、こんな優しさの欠片もないマッサージ!!!!」

腰をガッチリと羽交い締めにされた上、有無を言わさずにソファに組み敷かれる。

「いっ・・・折れっ・・・骨、折れ「我が輩を」

痛いくらいの力で押さえつけられ、思わず潤む瞳。

そんな弥子の様子など気にもとめず、ネウロは耳元でそっと囁いた。

「我が輩を・・・もっと楽しませろ、ヤコ」

その言葉に、弥子の目が大きく見開かれる。

「・・・何か言わんか、ゴミ虫」

「・・・フフっ」

声をあげて笑いを溢した彼女は、一息つくとこう口を開いた。

「・・・意外。でも・・・ちょっと嬉しい」

「・・・そうか、我が輩の奴隷として生き「奴隷違っ・・・ちょ、くすぐぅっ・・・痛い、です」

最早、抵抗しても無駄であろう。

仕方ないので、今はネウロの好きにさせてやる事に。

「・・・・・・・・・チッ」

「何で舌う「ヤコ」

「何ってばも・・・っ・・・ん・・・」

いつの間にか、体の痛みは優しくて甘い快楽に変わる。

2人共有する時間は、まだまだ終わりそうになかった。













*******************

対等な立場に相棒がいるのは嬉しいけど、同時にあの頃と違う事に"寂しさ"を感じてる魔人様を書きたかったんだ・・・

本人その感情は理解出来ないので、何だろコレ程度に感じてるくらいが丁度いい。







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