分からないよ、どうしたらいいのかな。翼の腕の中にいても、
答えなんてみつからない。もっと強く抱きしめて。そうしたら
気持ちが分かるかもしれないから。何で自分の事なのに、こんなあやふやなんだろう?虚しいよ。

―――そんな顔すんなよ、翼。









       キモチ









―――第一そんな事できる訳ない、でもいいじゃんちょっと夢くらいみても。
だいたいなんであたしがアイツ好きになったんだろう。
ずっと一緒にいたから?傍にいるのが当たり前だから?
いつぞやに佐々木が「好きに理由なんてないわ!」なんて言ってたな。
そうなのかな?じゃあこのままでいいかな、気持ちは。
あーでもその友達、付き合ってた山田君とすぐに別れたんだっけ。

…………えーっと、

やっぱりこういう理由だから好きっていうの、あった方がいいの?



と、ベラベラしゃべりまくったあたしに、クラスメイトのAちゃんはなんとも
言えぬ顔をしていた。あ、ごめん意味わかんないよね、ごめん。
そう言ってポッキーに手を伸ばす。痛い、手ぇ叩かれた。


「美咲、あんたさっきから食べすぎよ」
「だってお腹空くんだもん、しょうがないじゃん」
「ダイエットしようとかおもわないの?」
「うん、え、あたし太ってる?まぢで?」
「……もういいわ」


呆れた顔で言わないでよ、傷つくんですど。またポッキーに手を伸ばしたんだけど
今度は叩かれなかった。ラッキー……って思っちゃいけないよね。
そういや最近Aちゃん食事制限してるな、何でだろう?
恋してるから?どうやらあたしは恋してる=ダイエットってなっちゃうみたい。
まぁ、本当にそうなんだろうけど。あー、あたしもダイエットやった方がいいのかな?


「………うむむ、太って……る?」
「全然、大丈夫。嫌味かコンチクショー!」


きれないでよ。肉はついてるけど、そこそこって感じだし。まだ大丈夫かな?
うーんやっぱりアイツも細い子の方が好みなんだろうか。ボンキュボンとか?
やばいあたし胸でかくないよ。ポッキーを食べなら、そんな事を思った。



「おらーッ!翼!開けろ―――!」


酔っ払いのおっさんみたいな声を出して、ドアをドンドン叩く。
はよう出ろ。あ、出た。えー、もうパジャマ姿かよ。まだ9時なのに。
これで頭に帽子までかぶってたら最高にうけるんだけど。


「なんだ、美咲か」
「なんだじゃない、美咲様が来てやったんだ、いれろ」
「おう……って!もう入ってるじゃねえかよ!」
「細かいこと気にしてたらいい大人になれねーぞ」
「いやお前まだ子供だろ」


うん、まぁーね。でも翼よりは大人だよ?いろんな意味でね。
翼はいきなり入ってきたあたしに何か飲むか聞いてきて、じゃあ紅茶!
と生徒が先生に言うみたいに、手をあげて言った。苦笑して、
ぶつくさ言いながらあたしの為に紅茶を入れてくれる翼。
ちょっと痩せてる背中、………もっと食え阿呆。


「ねー、まだ?」
「はいはい、もうすぐですよ」
「はいは一回!」


はいとまた素直に頷きやがった。しょうもない事なのに、顔がにやける。
やばいあたしサドなのかも。じゃあ翼はマゾか?うわぁ、嫌だな。
こいつを好きになってしまったあたしだけど、
何だろうこの安心感。昔からだ、こいつといると安らぐ。


ねぇ、それは恋?

分からない。


雑誌を読み漁っていると、仲のいいカップルがいちゃついてて、
そういうの見てるとあたしの胸がざわつくんだ。


何で?

分からない。


分からない事ばっかだよ、全部翼のせいだ。ドキドキしてしまうのは恋だから?
っていうか恋って何?恋じゃなきゃ愛なの?そうなの?




教えてよ、ねぇ、翼―――?






「どした?気分悪そうに見えるぞ、アレか?」
「違う、この歩く十八禁野郎」
「ヒドッ!……っていうかまぢでどうしたんだよ?なんか悩みでもあんのか?」
「……別に、ないよ」


うそ、あるよ。あなたがすきなんだか分からないっていう悩みがね。


「翼、一つ聞いていい?」
「何だよ?」
「恋って何だろうな」


いいのに、そんな反応しなくて。


「さぁ、俺にはワカンネ」
「あたしも。翼―――」


ねぇ、じゃあもしもの話をするよ。あたしが翼の事好きだって言ったらさ、
どうする?拒絶しちゃう?あたし達が築き上げてきたこの数年間は
全部ぱぁになっちゃうのかな?よく分からないけど、あたしは
あんたが好きみたいだよ。違う、これはもしもの話じゃない。
今、好き。あんたが好きなんだよ、気づいてなかった?そうだよね、うん。
あたしはあんたと居てドキドキするんだ。どうしてだろう?
もしあんたの顔が近づいてきたら、すっごくドキドキするかも。
ねぇ、あたしがあんたを想う気持ちは恋?


「何か言ってよ、馬鹿」


知らないうちにムキになってしまったあたしを、何故か翼は抱き締めてきた。
気が利かない男だな、抱きしめる事しかできないのかよ。










あとがき

すごい、美咲が男みたいだ!(笑)得に最後の言葉とか。そして話の意味がワカンネ。
翼美咲じゃなくて、美咲翼みたいだなぁ。この二人は
最近好き過ぎてたまりません。こんなんですがサクラ様に捧げます。
え、ホントにこんなんでスミマセン(汗)リクエストありがとうございました!



(20060906)





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