ワヤわんこ

□こいぬとクリスマス
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サンタって、イスミさんでしょ。
 って言ったら、目をそらされた。
「いやあ……」
「だってオレ分かったもん。よやみにじょうじて」
「犯罪か……せめて『紛れて』と言ってくれ」
「イスミさんがプレゼントくつしたに入らなくてオタオタしてけっきょくそばにおいていったの、しんぞーのオトまでぜんっぶきこえちゃったもん」
 子どもだましだ。
 オレをなんだと思ってるの、ワンコだよ? ねててもミミとハナが『ふしんしゃれーだー』なんだから!
「あ、そうだ……ワヤお前、サンタさんの絵本見ただろ」
「あるけどやっぱいないんじゃんサンタ」
「違うんだ、実はあの大きなお腹が邪魔して煙突から入って来られなかったので、俺がサンタさんの代わりにワヤの部屋に持って行ったんだ、うん」
「……ほんと?」
「ああ、ホント」
 イスミさんはウソなんか言わない。たしかにあのおなかでうちのエントツはムリだ……。
 い、いるんだサンタ……っ!
「イスミさんサンタと話したのっ?!」
「あ、ああ、ちょっとだけな」
 イスミさんは何でもないみたいにお茶をのんだ。どーしてそんなにおちついてるの!
「すっ、スっゴーイ! サンタなんか言ってた?!」
「いや別に……」
「もーっ、くやしー! イスミさんが来たのはわかったけどサンタはわかんなかった〜!」
「サンタさんとトナカイさんは、ワンコにもわからないぐらい静かにこっそり来るんだよ」
 イスミさんが笑った。
「ワヤがいい子だからサンタさんはちゃんと来たんだ」
「いいコだった?……オレ」
 イスミさんに会う前はちがったかも知れない。
「いい子だよ」
 イスミさんがアタマなでてくれる。オレはてれてパンをかじる。
 でも……テーブルの上のプレゼントのつつみ紙はひとつだけ。
「イスミさんもいいコだよ? イスミさんにプレゼントは?」
「俺?」
 イスミさんはびっくりしたみたいにきく。
 だってコーコーセイはまだ子ども、なんでしょ? アシワラさんが言ってたよ。
「サンタくれなかったの?」
「……いやあ、俺は……」
 ストーブの上のヤカンがしゅんしゅんしてる。イスミさんはまた困った様に笑った。
「そうだな、俺はもうもらってるから、前に」
「前って?」
「ワヤが来た日」
 ええー……?
 オレは、知らないうちにプレゼントになっちゃってたみたいらしい。



⇒End。。。




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イスミさんが攻くさい?
ワヤがアホの子……

これは全て、ワヤ視点マジックなんです!
イスミさん視点だとソートーに慌ててます、実は。ワヤはサンタに目がくらんで、紅茶のカップがカタカタ震えているのに気付いてない!

半年後のワヤは、イスミさんは知らないフリしてウソをつく場合があるのだと薄々見破る様になってきます(笑)。

あとプレゼントの中身を書く文字数がなかった。
ミミの出る毛糸の帽子とお揃いのマフラーです。雪まみれワヤには必需品。

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