IS小説2

□プロローグ
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私、織斑千冬は悩んでいる……。

それは私の弟である一夏の事だ!

これは悩み出したらキリがない……。

そう、その悩みとは一夏の恋人もとい結婚相手だ!!

容姿端麗、品行方正おまけに家事万能そしてイケメンで何処に出しても恥ずかしくない、見ての通りの自慢の弟なのだ!

しかし束のせいで唯一無二の男性IS操縦者になってしまい、そのせいで一夏を欲しいままにしようと世界中からハニートラップがやってくる。

ただでさえ悩んでいるのに更に悩みの種が増えてしまった……。

だがどこぞの馬の骨なんぞに一夏をくれてやるか!!

たとえ一夏が彼女を連れて来たとしても私はハニートラップの類いと疑い尋問して吐かせてやるがな。

そこ!一夏よりも自分だろ!!とツッコンだヤツ!いいだろう拳で語り合うか?私は構わないぞ?ん?

っと話がそれてしまったな……。

とにかく私は一夏が悪い道に行かないように見守らないといけないのだ!!

何?なら自分の物にしたらどうだって?

馬鹿者!!そんな事が出来るか!!

私達は姉弟だ!そんな事などするか!!私にも一夏にも選ぶ権利はある。

いつまでも独身でいるのはさびしいので密かに花嫁修行をしている最中だ。

ん?誰だ?そこで笑ったヤツは?似合わないとでも言いたいのか?

……いいだろう話し合うか?何、剣を交えての会話だ、逃がしはしないぞ?

……と、また話がそれてしまったな。とにかく一夏の事を考えるとお姉ちゃんは心配なんです。

一夏が小さい頃から親代わりをつとめてきただけに私はいい相手に笑顔で見送りたい。

ただそれだけの事なのだがな……。

「うーむ……」

何か打開策かないかと思案していると……

「ちー――ちゃん!!」

ピクッ!!

私の神経を逆撫でする声が聴こえた……。

まあ、空耳だな……。いつまでもウサ耳を着けて痛い格好しているヤツは最初からここにいなかったな、うん。

「ひどいよちーちゃん!無視しないでよ!!」

無視しているのに気付いたのか私に向かって非難の声を出すヤツ。

篠ノ之束。ISの産みの親であり、不本意ながら私の親友でもある。

今思えば、私ももう少し交友関係を広げていればこんな痛いヤツとは出会わなかったのかも知れんな……。

「さっきから何してるのさ?」

「お前との縁を切るにはどうしたらいいかを考えていたところだ」

「ガー――ン!!」

私の言った事にショックを受けたのか束はこの世の終わりのような顔をしていた。

「ひどい!ひどいよ!!私とちーちゃんとの仲はそんなだったの!?」

「そんな事どうでもいいから何しに来たんだ束?」

「どうでもよくないよ!これは第一優先事項だよ!!」

「いいから話せ」

「はい………」

束はなおも食い下がろうとするのでアイアンクローで黙らせた。

こういう時に肉体言語は役に立つな。

「ちーちゃんがいっくんの事で悩んでるのを聞いて私がちーちゃんのお悩み解決をしようとやって来たのだ。えっへん」

「何?」

胸を張ってそう言う束だが大抵良くない事が多い。

何度もこう言っては失敗しては災難な目に合う上にとばっちりで私にまで不運な目にあっているのだ。

出来れば聞きたくはないがほっとくととんでもない事を仕出かすのが束のお得意なのだ………。

仕方ない耳を傾けてやるか………。

私は束に気付かれないようこっそりため息を吐いた。

「それで解決策とは何だ?」

「要するにいっくんに悪い虫がつかないようにしたいんでしょ?だったらいっくんに婚約者達を作ってしまえばいいんだよ!」

「束……」

「どう?名案でしょ」

「愉快なオブジェにしてもらいたいようだな……」

束の名案?とやらに納得するどころか怒りに沸き上がった私はボキボキと指を鳴らしながら近付く。

「ちょ、ちょっと待った――!何で怒ってるのさ!!」

「ふざけた事を言う兎を狩るだけだ……何の問題もない」
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