頂き物、捧げ物
□税込み120円(稲妻11 松半)
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本校舎から響くのは、下校時間のチャイム。マックスは、作戦会議用机の下から顔を上げると、大袈裟な溜め息を吐いた。
「おっかしいな〜、どこに行っちゃったんだろ…」
部室には既に他の部員の姿はなく、マックスとそれに付き合わされた可哀想な半田しか残っていない。ボヤくマックスを、半田はジト目で見やった。
「まだかよ、早く帰ろうよ」
「んん、待ってすぐ見つけるから」
先程からそんなやり取りは、もう十回も繰り返され、時間にして三十分は経過している。半田は、もたれたドアから体を起こすとマックスの隣にしゃがんだ。
「やっぱり手伝うよ」
「え…と、」
喜ぶかと思いきや、マックスの返事はどうも歯切れが悪い。困ったように顔を伏せ、マックスは小声で言った。
「大丈夫だから、待っててよ」
「そう言われて待ち続けてこの時間なんだけど?」
「あは…ですよね」
会話を続けながらも、マックスは手を休めることなく探し物を続ける。既に何回確かめたか分からないロッカーをまた端から開け始めるマックスの後頭部に向かい、半田は呆れた溜め息と共に言葉をかけた。
「大切なもんなら大事にしまっときゃ良かったのに」