頂き物、捧げ物

□税込み120円(稲妻11 松半)
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マックスは、半田に背中を向けたまま、うんと頷く。半田は冗談のつもりで言った。

「なくすくらいなら本当はあんまり大切じゃないんじゃね?」
「五月蝿いな!!」

突然強く反論され、半田は口を閉じる。マックスは横目で半田を睨み付け、また探し物に戻った。

「もう、待ってなくていい。先、帰れば」

冷たく言われれば、さすがの半田も腹が立ったらしい。背中越しにドアの開く音がして、ついで閉まる音が聞こえた。
室内が、急にうすら寒くなった気がした。

「大切な…ものだよ…」

ロッカーに半分頭を突っ込んで、マックスは呟く。一人になったら、途端に不安になってきた。

昨日、帰り掛けにスポーツショップで見つけたリストバンド。セールのワゴンで税込み120円だったそれを、マックスは迷わず買った。
包装を頼んだら店員は嫌な顔をしたが、仕方ない。プレゼントは綺麗にラッピングしてあってこそプレゼントだ。
小走りで帰路を急ぎながら、マックスはニヤリとした。
半田に渡したら、どんな顔をして受け取ってくれるだろうか。きっとすごく驚いて、それから照れ笑いを浮かべながら、すぐに付けてくれるに違いない、そう思った。
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