頂き物、捧げ物
□税込み120円(稲妻11 松半)
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「どうしてないんだよぅ…」
苛立ちを口にすると、余計に悲しくなる。何だかボヤケてきた目を袖でグシグシと拭い、まだ探していないところはないかと室内を見回した。
なくさないように大切にポケットに入れておいた筈なのに、どうしても見つからない。そればかりか、当人である半田を怒らせてしまったし、下手をすれば受け取ってくれるどころか、もう口も聞いてくれないんじゃないか…嫌な考えばかりが浮かんだ。
「嫌だよ、そんなの…」
声が震える。プレゼントよりも、大切なのは半田だ。
今から追いかけて、正直に話して謝ればまだ間に合うかもしれない。マックスは、意を決して脱ぎ捨てたジャージを鞄に押し込んだ。
と、カサリと音を立てて、クリスマスカラーの小さな包みが床に落ちる。
「えっ、あれ…」
驚きの声を上げ、マックスは目を丸くした。そして思い出す。今日は体育があったから、制服ではなくジャージのポケットにプレゼントを入れていたことを。
「っ…しんいち!!」
プレゼントを掴んで、マックスは部室を飛び出した。
半田が走って帰ったのでなければ、まだ追い付ける。どうしても今、プレゼントを渡したかった。