頂き物、捧げ物

□クリスマスフリー小説
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寒空プレゼント


寒空の下に男二人。薄暗い公園で、シャンメリーのビンを開けた。

「かんぱーい」
「か、乾杯…」

零度近いのではないかと思う気温、しかしこのハチマキ野郎は大変元気いっぱいなご様子。染岡は冷たすぎるせいで味のよくわからない炭酸飲料を一気に流し込んだ。

「クリスマスにさ、好きな奴と過ごせるのって幸せだな」
「寒くなきゃな…」

イヤミもものともせず、円堂はご機嫌で鼻歌なんか歌っている。染岡はプラスチックのカップを屑籠に投げ入れると両手に息を吐きかけた。

「寒いか?」
「寒い。いい加減家に帰らせろ」

円堂に呼び出されて、今日がクリスマスということもあって少し期待しつつやって来た染岡。しかし、円堂の様子はいつもとさして変わらない。
ただ、いつものスポーツ飲料がシャンメリーに変わっただけで、何も特別なんかじゃなかった。

「なぁ、円堂…」
「あ…」

もう帰ろう、染岡が言いかけた時、円堂は小さな声を上げる。
嬉しげな笑顔で振り返った円堂に、染岡は言葉を続ける気も失せた。

「染岡、ここ。ここにしゃがんで!!」

まるで悪戯を思いついた子供みたいに、円堂は手のひらで砂の地面を叩く。
もう無視して帰ってやっても良かったのだが、今日という日にわざわざ喧嘩の原因を作るのもどうかと思った染岡は大人しく従った。

「オレがいいって言うまで目閉じて」
「あぁ…」

言われた通りにすると、円堂の足音が染岡の前から左側を回り、すぐ後ろで止まる。

「いいよ」

ゆっくりと目を開き、染岡は息を飲んだ。
公園にある広葉樹は、この季節は大変見窄らしいことになっている。すっかりはげ上がった枝、隙間から輝く星はまるでイルミネーション。
てっぺんに光るのは、鉄塔に付いている鮮やかな稲妻マークだ。

「すげぇ…」

それしか言葉が出て来ない。
この天然クリスマスツリーを最初に見つけた円堂を、素直にすごいと思った。

「すごいな、これ。綺麗だ…」
「だろ」

いつの間にかすぐ隣に立っていた円堂。恐る恐る触れてきた指を、染岡はツリーに目を向けたまま握り返してやった。

「来年も…さ。染岡と一緒に見たい」

それは、遠回しな告白。

「来年はおでん買ってこい。冷たい物用意してきたら怒るからな」
「っ…うん!!」

染岡の答えに、円堂は満面の笑顔で力一杯頷いた。

Merry Christmas!!
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