頂き物、捧げ物
□クリスマスフリー小説
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キミと居る日
外はチラホラと雪が舞い始め、思いの外ロマンチックな雰囲気。恋人と部屋で二人きりという美味しいシチュエーション、それなのにこのネコミミは、不機嫌丸出しで特番の流れるテレビ画面を見詰めている。
「ポッキー食べる?」
「いらない」
先程から、半田が声をかけても返ってくるのは短い返事ばかり。これには半田も困り果てて俯くしかなかった。
暫く手元のDSに目を落としていると、隣でモソモソと動く気配。横目で見やれば、マックスが半田の横にぴったりくっ付いて体育座りをしていた。
「師匠、鈍すぎる」
マックスがポツリと呟いた台詞、突然そんなこと言われても、訳が分からない。半田が黙ったままなのに対し、マックスは少し怒ったようだった。
「今日、クリスマス。なのにさ、師匠は別にいつも通りなんだもん」
「あぁ、そんなことか」
「そんなこと!?」
マックスは、素っ頓狂な声を上げて半田の両肩を掴む。あまりの気迫に、半田は口を開けたままマックスのまん丸な目を凝視した。
「半田師匠がお家に呼んでくれたから、ボクすっごく喜んだんだよ!!特別だと思ってはしゃいでたのが馬鹿みたいじゃんか!!」
マックスがそんな風に思っていたなんて初耳だ。
しかし半田は、冷静な声で返した。
「クリスマスとか、あんまり関係ないと思うよ。オレはマックスが隣に居れば、いつだって特別だもん」
そのまま顔を近付けて、唇同士を軽くくっつける。
「マックスは、違うのか?」
マックスの顔は、面白いくらいに真っ赤になっていた。
半田に問われ、マックスはブンブンと音がしそうなくらい首を横に振った。
「違わない!!ボクも!!」
目に見えてニコニコになったマックスは、不意に半田に背を向けて自分の鞄をあさりはじめる。
「ボク、師匠にプレゼントあるんだ。ちょっと待っててね」
半田は、それに頷き返してマックスに聞こえないようにコッソリと呟いた。
「ヤベ…クリスマスなんてこと、すっかり忘れてたよ…」
それでも、キミが隣にいる日が特別なのは本当のことなんだ。
Merry Christmas!!