頂き物、捧げ物

□ホワイトデーフリー小説
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ぐるぐるロリポップ


ぐるぐる巻きのロリポップ。美味しそうだと思って手に取って、ふと周りに目が行った。

「ホワイトデーだ」

ペラペラの財布には、ギリギリ一本分の小銭。小さく溜め息を吐いて、マックスはロリポップを片手にレジへ向かった。

「師匠〜」
「ん?」

次の日、3月14日。部活が終わった後、マックスは半田を呼んだ。半田は何やらソワソワした感じで振り返る。今日が何の日か、意識しているのは明らか。

「バレンタイン、ありがと。お返し持ってきた!!」
「そ、そっか。そういえば今日はホワイトデーだよね」
「わーざとらし」
「う…」

照れくさそうに笑う半田を横目に、マックスは鞄に手を突っ込んだ。と、バキリと嫌な音がする。

「あ…」
「え?」

半田に見えないように、こっそり確かめた。とても気をつけて持ってきた筈なのに、いくつもの欠片に砕けたぐるぐるロリポップ。

「…それ?」
「うぁ…ゴメン、ボク、割れないように気をつけて、持って…きたのに…」

肩越しに覗き込んできた半田は、苦笑を浮かべている。バキバキの飴は何だか不吉だ。

「えっと…また今度ちゃんとしたの、持ってくるから」

途中で妙に声が裏返る。まさかこれくらいで泣きそうになるなんて、自分でも思っていなかった。
飴をしまおうとした手は、半田に止められる。

「こんなボロボロなの、師匠にあげれないよ…」
「何で、むしろこっちの方が都合いいよ」

欠片が零れないように包み紙を開いて、その一つを半田はマックスの口に放り込んだ。

「割らなきゃ二人で食べられないもんな」
「あ…」

甘い欠片が、口の中でゆっくり溶け出す。

「あと、一気にこの量を食べきる自信もないし」
「あは、大きいもんね」

同じように自分も飴を口に入れて微笑む半田に、マックスもつられて笑った。

「しんいち、有難う」
「此方こそ」

END
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