頂き物、捧げ物

□企画提出
5ページ/5ページ

Re:Re:Re:Re:Re:あのさ


第一印象は、お互い最悪の部類だったに違いない。鬼道は彼が嫌いだったし、彼も鬼道を恐らく嫌っていた。と思う。
同じチームの一員として共同生活をするようになり、イメージはガラリと変わった。
案外不器用な性格で、寂しがり屋で照れ屋な彼。色々世話を焼くうちに、ちょっと可愛いな、なんて最近は思えてきた。

件名は、「あのさ」のみ。つい先日、ようやくメアドを交換する仲に発展した不動からのメールは、大変素っ気ないものだった。
顔文字も絵文字もない、簡潔な内容。日曜日は空いているかの問いに、鬼道はイエスの返事を返した。
五分と待たず、次の一通がケータイを震わせる。やはり数文字だけの内容で、スパイクを売る店はどこかと書かれていた。
稲妻町に通うようになってまだ日が浅いとはいえ、天才ゲームメーカーたるもの地域の調査に余念はない。
各店の割引なども抜かりなく計算し、鬼道は数軒のスポーツショップの簡易料金表を作って送り返してやった。
少し時間がかかったのは、ちゃんとメールを読んでいる証拠だろうか。日曜日に商店街に行くから付き合えという予想通りの内容に、鬼道は片方の口角を上げて準備しておいた答えを送信した。
送信完了画面を確認した直後、メールではなく、音声着信のランプがカラフルに点滅する。

「はい、鬼ど…」
「てめー馬鹿か!!」

鼓膜を突き破る勢いの叫び声は、心なしか上擦っていた。

「何だあのメール、なめてんのか!!」
「本気だが」
「っ…〜」

恐らく顔を真っ赤にしているであろう不動の様子が手に取るように見え、頬が緩む。
冷静さを崩さぬように、鬼道は問い掛けた。

「それで、一緒に出掛けるのか、やめにするか?」
「…い、行くよ」
「そうか、楽しみだな」
「っ、馬鹿っ!!」

散々に暴言を吐かれはしたが、拒絶の言葉はないまま電話は切れる。
こらえ切れず、鬼道はクスリと笑い声を洩らした。

「可愛い奴め」


件名 Re:Re:Re:Re:Re:あのさ
本文 それはデートの誘いと受け取ってもいいか?


END


後記:877トラップ!さまに提出した不動受け小説です。
鬼不です、大変楽しく書かせて頂きました(笑)
振り回したいのに振り回される明王とかとてもツボなんです。参加できて良かったです。
有難うございました。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ