頂き物、捧げ物
□50000hit有難う(稲妻11)
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特別なのか?
「染岡、連れション行こうよ」
昼休みに、わざわざC組まで訪ねてきてニコニコしながら半田の吐いた台詞に、染岡は思わず牛乳を吹き出した。正面にいた一ノ瀬が嫌な顔をしたがこれは仕方ない。明らかに半田のせいだ。
「うわ、汚いな染岡」
「お前のせいだろがっ!!」
さも自分は関係なさそうな顔で平然と抜かす半田に怒鳴ってから、染岡はひとしきり咳き込む。牛乳が気管に入った。
「で、行くの?行かないの?」
今までの流れをぶったぎり、半田はいきなり話を戻す。
「行かねーよ!!」
「なんで?」
勢いでキッパリ否定すれば、半田は目を細めて顔を近付けてくる。口元は優しげに微笑んでいるのに、雰囲気は全く笑っていなかった。
「円堂とは良く行くよね。クラスの奴とも一年生とも行くよね。でも俺は駄目なの?なんで?」
まるで染岡の答えを予想していたような、矢継ぎ早な問い掛け。こういう時の半田に嘘を吐くと、後が恐いと染岡の本能は告げていた。
「お前…絶対変なことするだろ…。だから、行かねぇ…」
てっきり何かされるかと思ったが、染岡の蚊の鳴くような声に対する半田の反応は、全く予想外のもの。ニマリと口角を上げ、そのまま染岡の耳元に囁いた。
「それって、俺のこと意識してるって、こと?」
「は?な…」
違う…と言おうとした唇が、半田のそれで塞がれる。傍目には分からないくらい、短い口付け。
「他の奴は良くて俺だけ駄目ってことは、俺のこと意識してるってことだろ?」
半田は、顔を離すと真っ赤になった染岡を見下ろして言った。
「正直に言ったから今日は許してあげるよ。次断ったら、これくらいじゃ済まないけどね」
「っ…」
言葉に詰まる染岡を尻目に、半田はゆったりした足取りで、何事もなかったように教室を出て行く。
「な…何で俺が悪いみたいになってんだよ!!」
「染岡、そゆことは本人に聞こえるように言わなきゃ」
「うっせー!!」
一ノ瀬のツッコミを一刀両断して、染岡は頭を抱えた。
だって、真正面から言えば何をされるか分かったもんじゃない。けれどそれが意識していると言うことならば…
まさしく、その通りだ。
END
後記:Q。何で半染の半田様は鬼畜になるんですか?
A。染岡が受けっ子だからです。
まさしくその通りだ!!閲覧あざす!!