頂き物、捧げ物

□じゅうにまん有難う。
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目撃


朝、下駄箱の前で迷うこと20分と13秒。人通りが激しくなってきたので渋々諦めた。
二時間目の休み時間、一組の前で立ち止まること1分と28秒。万が一本人に見られると大変困るので、断念しておいた。
昼休み、一緒に弁当を広げながら切り出すタイミングを計ること43分4秒。奴の人気者ぶりを改めて思い知り実行ならず。
そして放課後、部活の前にも3分33秒ばかり様子を伺ったが、チャンスは訪れず結局下校時間を迎えてしまった。

「染岡、帰ろ」
「お、おう…」

鞄の中に目を落としボンヤリしていた染岡は、円堂の声で我に返る。ユニフォームの上からジャージを羽織り半田に部室の鍵を押し付け、円堂は染岡の手を取り暗い校庭に出た。
無言のまま歩くこと暫し、どうしようかと染岡が思案している間に、別れ道に差し掛かる。
少し前を歩いていた円堂は、振り返って解いた手の平を上に向けた。

「何かオレに渡したい物があるんだよな」
「………まぁ、な」

本日はバレンタイン、むしろ渡したい物がないわけがない。しかし、円堂はこんな季節イベントに興味などないと思っていたので染岡は正直驚いた。
とりあえずカバンから取り出した板チョコを渡すと、円堂は両手で受け取り満面の笑みを浮かべる。

「サンキュ、染岡」
「お…おう…。それにしても、よく覚えてたな、バレンタイン」

照れ隠しにそう問えば、円堂は肩を竦めた。

「そりゃ染岡があんだけソワソワしてれば嫌でも思い出すって」
「な…!?」

まさか見られていようとは。
俯いた染岡の頬に、円堂は唇を押し付けた。

「ソワソワしてる染岡、かわいかった」
「馬鹿…」

分かってたならもっと早く言えっての。


END


後記:閲覧あざす!!
なんだかgdgdですが、こう…思い悩む染岡が書きたかったんです。
悩ませたらもう満足して、尻切れになってしまった感満載です。スミマセン。
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