頂き物、捧げ物

□じゅうにまん有難う。
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返せる自信がない


校舎裏に呼び出されるというベタな展開には、待ち受けるパターンが二つばかり用意されている。
ひとつは、殴られたりするパターン。そしてもうひとつ。

「ほらよ」

木暮が差し出したカラフルな箱に、緑川はキョトンとすることしか出来なかった。
そんな緑川の反応が気に食わなかったのか、木暮は頬を膨らます。
上目で睨まれても迫力なんてものは皆無で、緑川は思わずクスリと笑った。

「それは?」
「…バレンタインチョコ」

緑川は昨年までこの日はいつもパンドラとリームからチョコレートを受け取っていた。彼女達曰く、この日のチョコレートには敬愛の気持ちをモリッと詰めるらしい。
本来ならば、木暮からチョコレートをいただけるのはかなり嬉しいことだ。

「…気持ちだけ受け取っておくよ」

しかし緑川は、苦笑でもって箱を押し返す。木暮は驚いた顔をして、俯いた。

「な、なん…で…?」

恐る恐る、といった感じの、木暮の声。緑川はヤレヤレと首を振った。

「だってそれ、辛いだろ?タバスコの臭いがする」
「うっ…バレたか…。宇宙レベルの鼻め」

理由を聞いた木暮は、悪態を吐く。嫌いだから受け取らなかったのではないと分かって安堵したのを嫌味でもって誤魔化そうとしているのが丸分かりで、緑川はますます笑いそうになるのを必死で堪えた。

「でも気持ちは嬉しいから、お返しは期待しておいてよ」
「体で返してくれんのか?」
「木暮がお望みならね」

悪ふざけにサラリと返してやれば、木暮は頬を赤らめ閉口する。

「レーゼん時と違う…」
「こういうオレは嫌い?」

木暮が何とも答えないので、今度は緑川が不安になった。
と、突然腕を引っ張られ、緑川は踏鞴を踏む。その耳元で、木暮が小声で囁いた。

「好きに決まってんだろ、馬ぁ鹿」

この幸せな気持ちを三倍にして返すのは、えらく大変そうだ。


ハッピーバレンタイン!!


後記:うちのサイトはこぐレーゼです!!だから引き続きこぐリュウです!!ゲームの京都エピソード大前提です!!(ウゼェ)
レーゼ=おたおたオロオロしてる子、リュウジ=サラっと切り返してくる子。
閲覧あざす!!
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