頂き物、捧げ物

□手のかかることこの上ない
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「何だ、思ったよか幸せそうじゃねぇの?あいつ…」
「…は?」
「お前ら、出来てんの?」
「なっ!?」
「邪魔したな」

質問に答える前に、不動は辺見に背を向ける。
ヒョコヒョコ揺れる髪が人混みに消えたタイミングを見計らったかのように、そこに源田が戻って来た。

「待たせたな。何か嫌なことを言われたりしなかったか?」
「や、別に…」
「そうか、良かった」

辺見がフルフル首を振ると、源田は安堵の笑みを浮かべる。
心配されていたのだと思うとむず痒いような妙な気分だが、悪い気はしなかった。
見事な半熟タマゴのオムライスを、食べ盛りの二人はあっと言う間に平らげる。
そのあとはゲームセンターで新しい音ゲーをチェックして、何となく気になっていた映画を見ることとなった。

「っ……〜〜」

何故、映画館で見ると普段は何でもない話がイヤに感動的になるのだろう。
パニックアクションの中にちょこんと配置された恋愛要素に、辺見は思わずウルッときた。
拭うとバレるので、斜め上を向いて映画と関係ないことを考える。そうやって何とか涙を止めようと試みていると、源田の手が肩を抱き寄せてきた。

「少し冷房が効きすぎだな」
「…おぅ」

暗いから誰にも気付かれる心配はない。
源田の気遣いに嬉しさと恥ずかしさ半々、別の意味でドキドキしているうちに映画は終わった。
電気が付く前に、辺見はに源田の腕を解き歩き出す。外はすっかり夕闇に包まれ、タイムリミットが近いことを示していた。

「夕食は買ってって俺の部屋で食べることにしないか?」
「そうだな。食堂で並ぶのもタリぃし」

一日歩き回ると、サッカーで鍛えた体でも流石に疲れる。空いている店で適当に持ち帰りメニューを注文して、学園に帰ることにした。
同じ考えの人々で混雑するフードコート、源田がはぐれないように差し出す手に気付かないふりで目を逸らした辺見は、足を止める。テーブルの一つに、ポツンと特徴的な髪型のシルエットが座っていた。
すっかり気を抜いているようで、いつもの嫌味な雰囲気は影を潜めている。

「辺見、何を見て…」

辺見の視線の先に何があるのか、理解した源田は、口を閉ざした。
源田が不動にどんな目に合わされたかは、辺見も聞いている。けれど、考える前に足が動いていた。

「不動」
「ぅあ…!?お、お前らまだ居やがったのかよ」
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