頂き物、捧げ物

□手のかかることこの上ない
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突然名を呼ばれた不動は、ビクリと肩を震わせる。だが声をかけたのが辺見だと分かった瞬間、ニヤリという笑みを顔に貼り付けた。

「何だよ、仲むつまじいところを見せ付けに来たのか?そりゃゴチソウサマ」

嫌味な物言い、しかしそれが本心でないのは、よく分かる。自分が不動の境遇だとしたら、きっと同じ態度を取っていただろうから。

「今から帝国学園に帰るんだ。お前も来いよ」
「は、はぁ?何でオレが…」

突き放す態度に動じない辺見に、不動は面食らった様子で眉を歪める。上っ面の笑みから、力が抜けた。

「行くとこなくて此処に居るんだろ。いいから、来い」
「ふ、ざけんなよ…誰がお前らみたいな二流と…」
「あーもう、つべこべ言うな!!」

余りに頑なな不動に、辺見はとうとう怒鳴りつける。辺りの視線が集中し、源田も目を丸くしたが、気にする余裕はなかった。

「お前放っといたら、オレらの方が悪者みたいじゃねーか!!困ってんだろ?助けを請えとまで言わねぇからせめて黙ってついて来い!!」

辺見の迫力に押されたのか、不動は黙って頷く。次に辺見は、源田を振り返り切れた息を整えながら訊ねた。

「お前も…恨むべきはコイツじゃねぇって本当は分かってんだろ。だったら、いつまでもツンケンしてんじゃねぇよ」
「は、はい…」

我に返れば、三人の周りには結構な人だかり。途端にいたたまれなくなって、辺見は嫌に礼儀正しい返事をする源田の手と、まだ戸惑っている不動の手をガッと握って、走るようにショッピングモールを出た。
街灯に照らされた道を無言で歩いていたが、突然不動が呟く。

「礼なんて言わねぇからな…」
「期待してねぇよ」

ヘッと鼻で笑って返し、辺見は反対隣の源田を見上げる。目が合った源田は、苦笑を浮かべた。

「悪い…な」
「いや、驚いたが、辺見らしい」

直接的な単語を嫌う辺見に、源田の告げた「そういうところも好きだよ」という言葉。うっかり赤くなった顔を、俯いて隠した。

「不動、とりあえず休戦にしてやる。辺見に迷惑をかけるなよ」
「ケッ、源田のくせにでけぇ口叩きやがって。言われなくても分かってるよ」

繋がれた両の手に、ギュッと力がこもる。

今日の収穫は、新作のミサンガとお土産のチョコレート。それに、新しい部員。


END
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