ぷらりじなる!

□冷製ハニー
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キイチの素っ気ない態度は、妙な偏見を持たれないよう配慮した結果なのだろう。それはシロウにも理解出来るのだが、それでもどうにも引っ掛かるものがあるのだ。

「なんかお前、ゴーヤ食ったみたいな顔んなってんぞ」
「思うところがあるんだよ」

シロウが黙り込んでしまったことに気付いたキイチにそうつっこまれ、慌てて両頬を押さえる。そんなに苦い顔になる程考え込んでいた自覚はなかっただけに、自分が一番驚いた。

「なーんか不満があるなら言えよ。黙ってられっとムカつく」
「もともと恐い顔なんだからあんまり怒るなよ」
「うっせーよ、そりゃ関係ねーだろ!」
「痛ってー!ギブギブ!」

キイチの分かりにくいお気遣いに冗談で返すと、首に腕を回され脇でガッチリ固められる。
周りで見ていた女の子達はキャアと悲鳴を上げた。

「痛て……。あんま目立つ場所でそゆことすんなよなー。俺のファンに睨まれんぞ」
「ケッ、知ったこっちゃねぇよ!」

ようやく解放されたシロウは、痛む首をさすりながら涙目でキイチを見る。
もしキイチがもう少し気弱そうで小さければ、学校でも話題のイケメンにこんな仕打ちをしたら間違いなくイジメの対象にされることだろう。
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