ぷらりじなる!
□冷製ハニー
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彼女らは、キイチがシロウの恋人だなんて気付かない……否、キイチが気付かせないのだ。だから、平気でシロウの隣に収まろうとする。
そんな子を前に、キイチが全く慌てず平気な態度でいるのが、たまらなく嫌なのだ。
「別に平気だし、嫌じゃねぇよ?」
「なん……」
それは、別に自分のことなどどうでもいいという意味か。
キイチはニマリと口角を上げて、更に訊ねようとしたシロウの口を大きな手のひらで塞いだ。
「お前の顔だけが好きな奴には、負ける要素ねーもん」
あまりに自信満々の、不遜な態度。シロウは、思わず呼吸も忘れてキイチに見入った。
「そういう変に気が小せぇとことか、勘違い激しいとことか、あと……案外ズボラなとことか、全部ひっくるめて俺ぁお前が好きなんだ。だから、お前の顔しか知らねぇ奴はライバルにもなんねぇよ」
「悪口ばっか言いやがって……」
キイチの手を払い退けて、シロウはようやくそれだけ呟く。
初めて聞いた改まった告白に、不覚にも目の奥が熱くなってきた。
「悪口じゃねぇ、見たままを言ったまでだ」
文句を言ってやりたかったが、気を抜くと声が裏返ってしまいそうで。