ぷらりじなる!

□冷製ハニー
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夕方と夜がちょうど交わる時間帯、オレンジ色が藍色に塗り変えられる途中の時間帯。
名前も知らない女の子たちがこちらに向かい手を振るのに、シロウは笑顔で答えた。
この学校に入って一年と数ヶ月、シロウは整った顔に明るい性格のおかげで、とにかくモテる。特定の女の子と付き合っている素振りがないので、尚更だ。

「相変わらずすごい人気だな」
「まぁね……」

そのモテぶりに素直に感心する、シロウの隣を歩く強面でいかつい男。シロウに彼女が居ない理由は、そいつ……キイチとお付き合いしているからである。

「あぁ……もっと堂々と主張できたらなぁ」
「ん?」

キイチは、シロウが他の誰と仲良くしようがいつも全く気にしない素振りをする。果たしてどんな意図があるのか、それなりに長い付き合いなのだが、シロウには全く分からなかった。

シロウとキイチは、実家が学校から遠く寮の同室で生活している。同じ室内で親睦を深めるうちに、こんな関係に至った。
どちらから告白したのかなんて覚えていない。ひょっとしたら、どちらも告白なんてしなかったのかも知れない。
だからこそ、シロウはたまに不安になるのだ。
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