そうだと言えば前からそうだった。
けれど、何かがあたしにブレーキをかけて、認めさせてくれない。
何かなんて本当は解っている、怖いんだ。
この、今の関係を壊すのが。
丸井に振られるのが。
「ねぇ、丸井。あれ君の彼女だよね?」
あたしの席からは校庭の青い空の下ではしゃいでいる、キラキラした少女が見えていた。
それは、あたしの席の前にチョンッと座って授業をうけている赤髪の奴が最近付き合いだした彼女だと思う。
親切に教えてあげるあたしって良いクラスメイトだなー。
「あいつのクラスこの時間体育なんだな。」
彼女についての新しい情報に、なんとも優しい笑顔をする丸井。
その笑顔を向けられるのがあたしならいいのに。
とか、そんな事を良いクラスメイトのあたしは思っちゃいけない。
でも、少しだけその優しい笑顔に心の中で泣いた。
気づかないで、正直なアタシ
こんな気持ち知りたくなかったよ。