□猿の経
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[猿の経]
-演説・あさき

―さぁさ 皆様ご一緒に―

「薄明(はくめい)に 混ざり在る 紺碧(こんぺき)の手とー!」

握手!

愛撫する 愛撫する 彼らは愛撫する

―大演説会場にて―

「我々は宇宙に在り! この濁世(じゅくせ)の亀裂の深きは! 億万の絶叫である!
満目(まんもく)の黒炎(こくえん)に執する き、き、きー!きゃっつら!に禍(わざわ)いを!」

「神幸!神幸!」

「嬋娟(せんけん)と舞う閃光(せんこう)の掻き消す幸福よ!
星一尽き 星二尽き・・・」

人は己の触れたるものの色に消ゆ

―今世紀最大の発見―


「瑕瑾(かきん)なき実 踏みます 
嬲(なぶ)り刺すと 熟(う)れます」

「ささ、どうか!」
「ええ、そうね!」

燃えて しまえ・・・

「我々は!大宇宙の意思!!ほろろと鳴く猿であり!
或(ある)いは ほろほろと踊る猿であるが故に!を、を!おとろしや!」

母をかえせ 父をかえせ 私をかえせ


両手合わせ
小鳥翔(た)つ日々の呼吸に
伍(ご)し高き誇りの炙(あぶ)られる人よ 気がついているか!

東雲(しののめ)の散れば初音

夜陰(やいん)は いつまでも 星をほろろぎ 在る―・・・


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