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□★First kiss…third
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Sweet jealousy
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「俺から入るのっ」
「俺からだよっ」
「もー押さないでよ、マッスー荷物持ってる分幅とるから後で入ってって」
「だから先入らせてよ〜」
「ヤだ。俺が先入るの!」
可愛い小競り合い。
初めて2人で迎えた朝に、増田から
『2人で部屋借りない?』
の、提案に
『マジで?チョー嬉しいっマッスー大好きっ』
二つ返事でOKした手越と、1ヶ月半不動産巡りを繰り返し、やっと決まった2LDKのマンション。
家賃も二十歳そこそこの、2人の身の丈に合った額を、合わせたぐらい。
仕事柄セキュリティーを重視した分、部屋は少し狭いけど、今の2人には、畳一畳でも幸せな空間…六畳二部屋もあれば十分だろう。
小競り合いしている玄関のドアも、さして広くなく狭くもなく、強いて言えばこじんまりした印象。
しかしドアの色がホップな赤、丸っこいドアノブも手伝って、何だかレトロな感じが可愛くて、2人がこのマンションを選んだ決め手の一つでもあった。
そのドアの向こうに消えてったのは…
結局って言うより、やっばり競り勝った手越で、大荷物を持った増田が、ドアの外に取り残されてる。
もう…優しくないな。
先に入るのは構わないけど、俺、荷物持ってんだからドアを開けるなりしてくれればいいのに。
ブツクサぼつきながら、荷物を片手に持ち替えて、増田が中に入ると、手越がニッコニコして出迎えてくれた。
ものスゴい笑顔で、すげー可愛いんだけど。
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