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□懺悔…First kissシリーズ
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ああ神様、不埒な僕をお許しください……。
懺悔…First kissシリーズ
Masu/Tego
年の瀬も押し迫り、今日は2010年最後の日。要するに大晦日だ。
今朝から『イヤだよマジどうしよう…』を繰り返している祐也を『大丈夫、俺がついてるから』とその度に肩を抱き優しく慰めている貴久の心は、実はウキウキ踊っていた。
ホントは浮かれてちゃいけないんだけど。
昔ロケで訪れた時、腰抜かしちゃったほど祐也はお化け屋敷が苦手なんだから、実際はそんな大きな口叩けないけど『祐也が可哀想だろ!』なんて、こんなオファーを受けた事務所に文句を言ってやるくらい憤ってなきゃいけないんだ。
だけど無理、そんなこと思えないよ…。
どんな時も何を前にしても怯まない祐也が情けなく眉尻を下げ、人が居ようが居まいがどこかしら、貴久のパーカーの裾とか袖口とかパンツのポケットとか、離れちゃ嫌だとばかりに掴んでくるのが身悶えするくらい可愛くて可愛くて可愛くて…
貴久は逆に事務所によくぞこの仕事を受けてくれたと感謝してしまうほど、この状況が嬉しくて仕方ない。
「ねぇ、貴久は怖くないの?」
「怖いよ。祐也も俺がビビりだって知ってるだろ?」
「知ってるけど…なんか妙に落ち着いてない?」
「そ、そんなことないよ」
勿論貴久だって怖い。お化け屋敷に好き好んで入る人の気が知れないとも思ってる。しかし今はそのお陰で天の邪鬼な祐也が超素直なのだ。アナタだけが頼りなの…ってじんわり潤んだ瞳を向けてくるのだ。
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