■オレとお前で歩く道■

□第1話『秘密の関係』
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 幼い頃に両親を亡くしたオレと弟のアルはそれぞれ別の家に引き取られて、4年の時を経て再会した。
 そして、4年の時を経て再会したオレとアルは、再会から半年後には兄弟から恋人への関係へと発展した。
 男同士であり兄弟でもあるオレ達が恋人同士の関係だなんて周りの人間に知られたら……。
 だけど、今の所その心配はなさそうだ。アルとの再会の場となった新しい学校では、オレの父親代わりをしてくれているロイのちょっとした編入手続きの誤りで、オレの性別は女って事になってる。
 姓が同じだから身内か何かかって疑われた事もあったけど、生憎オレとアルは一緒に住んでいないし、オレもアルも自分に兄弟がいるなんて誰かに話した事もない。幸い顔も性格もあんま似てねーし。
 今では学校公認の恋人同士みたいになってる。
 色々と可笑しい事にはなっているものの、この生活にも慣れたし、弟だけどアルと恋人同士になれた事は嬉しいし幸せだし。
 ま、それなりに何とか上手くやっていけてるって気はしてる。

「ロイ〜っ!!ロイってばぁっ!!」

 オレの朝は忙しい。毎朝学校に通う1時間前にはベッドから抜け出して、洗濯して掃除して弁当作って朝飯の支度して……。
 一番厄介なのは低血圧か何なのかは知らねーけど、寝起きの悪いロイを叩き起こす事だ。

「ロイっ!!いい加減に起きろよっ!!遅刻すんだろっ!!」
「ん〜……もうちょっと……」
「だめっ!!」
「うっ……」

 わざわざロイの部屋まで足を運んで、ロイが気持ちよさそうに寝ているベッドの中を覗き込むと、オレはこれでもかってくらい大きな声を張り上げながらロイがくるまっている布団をひっぺがした。

「……エド〜……」
「朝飯できてるから早く起きて来てっ!!」

 寝足りないと言いたげな情けない顔でオレを見上げてくるロイにピシャリと言いつけると、オレは踵を返してロイの部屋を出て行った。
 全く……いい大人がいつまでたっても誰かに起こしてもらわなきゃ起きれねーなんて。
 ロイもまだまだだよな。

「おはよう」
「おはよ」

 オレに起こされて眠そうな目を擦りながらリビングにやって来たロイは、ボーっとしたままテーブルの上の新聞を手に取り、オレの淹れてあげたコーヒーを啜る。
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