■オレとお前で歩く道■
□第3話『恋は大騒ぎ?!』
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ちょっと前までは転校生扱いだったオレも、今じゃすっかりこの学校に慣れて、もうすぐ最終学年を迎える時期になっていた。
「は?今何て?」
放課後。本日日直だったオレは、机を挟んで目の前にいるラッセルと他愛のない話をしながら、日直日誌なんてものを書いていた。
オレの事を完全に女だと信じ込んでいた上に、オレに告白までしてきたラッセルだったけど。オレの正体が知られ、その流れで友達……いや、親友になる事になっちまって。今ではすっかり仲良くなっていたりする。
オレが学校では性別女で通しているから、あからさまに仲良くはしてないけど。こうして誰もいなくなった放課後の教室では、男同士の会話をしてみたり、何の事はないお互いの話に花を咲かせていたりする。
そして、たった今。オレはラッセルから衝撃な事実を聞かされて、日誌に走らせていたペンを止めると、物凄いしかめっ面でラッセルを見上げた。
「何だ。知らなかったのか?」
オレの驚き具合とは裏腹に、ラッセルは若干呆れた顔でオレを見返してきた。
「知らないっ!!何それっ!!どういう事?!」
最早日直日誌なんてどっち向いててもいいって感じで、ラッセルに食いつくオレの勢いは、椅子の背もたれに邪魔されるラッセルをギリギリまで追い詰めるくらいだった。
「お……落ち着けよ。エド」
「だって!!」
これが落ち着いていられる事なら最初から落ち着いてるってんだ。
「アルが男からも人気ってどういう事?!」
「だから……ちゃんと説明してやるから」
この学校に転校してきてからというもの、アルの人気っぷりは嫌って程に目の当たりにしてきた。だけどそれは、女子の間に限っての事だと思ってた。
そんなオレの思考を一気に覆すラッセルの言葉に、オレは一瞬耳を疑わざるを得ない状況にまで陥った。
「ほら、ちゃんと座れよ。そんなに顔突きつけられたんじゃ話辛くて仕方ない」
「あ……うん……」
ラッセルに言われて、机の上に乗り出していた体を元の位置まで引き戻す。
少しは落ち着いたオレにラッセルは小さく咳払いをすると、オレが知りたがっている“アルが男からも人気”の真相を話し始めた。