■オレとお前で歩く道■

□第8話『秋高し 修学旅行は大騒動?!』
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 高三の二学期は忙しい。
 本来なら、高校三年生にとっては受験勉強で忙しいはずのこの時期に、うちの学校ときたら受験勉強そっちのけで、お祭り騒ぎに忙しい。
 これも大学付属の余裕って奴か?世の受験生達には恨まれそうな境遇だ。
 とは言え、うちの学校も全国では一応名高い名門校だそうで、全国模試なんかやった日にゃ、トップに立つ奴がいたりだとか、うちの学校の生徒が上位を独占する……なんて話もよく聞く。
 ま、育ちのいい金持ち学校の生徒達だ。親の期待やら将来もあるんだろうから、やる事はちゃんとやってるって事だよな。
 で、オレは今、先週終わったばりの中間テストのご褒美と言わんばかりの、四泊五日の修学旅行に来ている。
 十月の第一週目の日曜日に体育祭があって、一週おいて三週目が中間テスト。んでもって、最終週の第四週目が修学旅行だなんて、ちょっとハード過ぎる。
 またまたうっかり忘れそうになっちゃうけど、来月は大掛かりな学園祭もあるって言うし……秋は色々と大変だよな。

「やっぱり秋はいいよね〜」
「へ?あ……うん……」

 午前中をひたすら移動時間に費やして、やって来た修学旅行でまず最初にしたのは昼食を摂る事だった。
 大きな荷物は移動バスの中に置き去りにして、小さな鞄に各自必要なものだけを詰めて降り立った地は、長閑で広大な景色広がる大自然の中だった。
 日頃ごちゃごちゃとした都会の景色を見慣れてるぶん、こういう自然溢れる景色の中は、オレを何だか懐かしい気持ちにさせてくれる。
 何てったってオレの生まれ育った場所は、ここよりももっと何もない超ド田舎。幼少期を何もない田舎で過ごしたオレにとって、自然を感じられる場所はどこだって嬉しくなったりするもんだ。
 昼食の後、少しだけ自由時間を与えられたオレ達は、それぞれ好きなように時間を使っているわけだけど、オレはロゼに誘われて店のテラスに出て、テラスから望める清々しい景色をぼんやりと眺めていた。
 ポケットから携帯を取り出し時間を確認する。今頃アルも昼休みだ。
 いつもはオレと一緒に食べてる弁当も、今日はフレッチャーと一緒に食べてる事だろう。
 修学旅行って響きは嬉しいしわくわくするけど、その間アルに会えないのがちょっと寂しい。
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