■オレとお前で歩く道■

□第10話『ドッキドキの冬休みっ☆』
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 華やかな学園祭から一ヶ月弱。期末試験もそこそこな結果に終わったオレは……。

「二学期お疲れ〜っ!」

 今日から高校最後の長期休暇、冬休みに突入した。
 終業式の翌日にあたる今日、十二月二十一日。終業式前の放課後、何となしにくっちゃべっていたラッセルの提案で、二学期お疲れ様会でもしようという話になった。で、オレ、ラッセル、アル、フレッチャーという、いつもとお馴染みメンバーに加え、先月学園祭後の打ち上げでオレの正体を知ったロゼ、ついでにエンヴィー、ライラ、リン……と、その御付のランファンという、何だか不思議で異様な組み合わせで、某ホテルのケーキバイキングに行く事になってしまった。
 それが今現在。
 何でケーキバイキングなんだ。メンバーの殆どが男だってのに。ケーキバイキングとかってさぁ、普通は女の子同士とかで行くんじゃないのか?実際オレ達の周り、ほぼ女性客ばっかだし。
 とは言え、こういう機会でもない限り、ケーキバイキングとか一生来ること無さそうだから、それはそれでいい経験。有りって事にしてしまおう。
 アルとフレッチャーを除くメンバーは、この春高校を卒業する組でもあるから

「いやー、ついに二学期も終わっちゃったねぇ〜」
「年明けには進学試験もあるしな」
「高校の三年間なんて、あっという間だったよね」

 もうすぐ終わりが近づいてきた高校生活に、しみじみとした思いを馳せてみたりする。
 かと思えば

「これ美味しい。もう一個食べよ〜」
「甘さ控えめってとこがいいナ。何個でも食えそうダ」
「一つ一つが小さめってとこもいいわね。色んな種類が楽しめて」

 しっかりケーキに夢中だったりもするから面白い。
 まあ……卒業っつっても、オレ以外のメンバーは通う校舎が変わるだけだから、あんま卒業って感じもしないんだろうな。オレだって、大学本館の方に通うってんなら、“もうすぐ卒業かぁ……”なんて、しみじみ思ったりとかしないし。
 まだ希望学部に受かるかどうかは決まってないわけだけど。
 って言うか、そもそも大学へ上がるって感覚が、いまいち薄いんだよな。うちの学校においては特に。高校三年の冬休みだってのに、呑気に二学期お疲れ様会なんかやっちゃってるあたり、普通では考えられないのかもしれない。
 オレ達には“受験生”としての自覚が全く以て欠如している。
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