■オレとお前で歩く道■
□第5話『譲れない想い』
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全てが元通りになって、ずっと続いていた心のもやもやからも解放されると思ってたのに……。
「見ろよこれ。スポーツ新聞の一面にでかでかとだぞ?」
「……見たくない……」
せっかくアルがオレの事思い出してくれて、オレの人生幸せまっしぐらとか思ってたのにさ。
オレの後ろの席でスポーツ新聞を広げるラッセルを振り返りもせず、オレの顔は不機嫌絶頂だ。
「でもアル君は知らなかったんだよね?」
ラッセルが広げるスポーツ新聞一面の見出しを眺めながら、ロゼが気遣うように言ってくれるけど……。
知ってたとか知らなかったの問題じゃねーんだよ。
「どうすんだ?」
「どうするって言われても……」
どうにもしようがねーじゃねーか。オレがどうこう言ってどうにかなる問題だって思うなら、とっくに口出ししてるってんだ。
オレとラッセルをパーティーに招待するなんて、絶対何か裏があるとは思ってたけど。まさかオレの目の前でアルとの婚約発表するなんて思いもしなかった。
ま、思いっきり動揺して取り乱してたアルを見れば、アルは何も知らされてなくて、お互い合意の上じゃないってのはわかったけど。
それにしても、いくら自分がアルの事好きだからって、やり方が気に入らない。しかも、こうしてスポーツ新聞の一面飾っちまうくらいの大騒ぎだぜ?ライラの方は今更婚約解消するつもりなんてねーんだろ。
大体、有名なのはライラの親父の方であって、何で娘のライラの事がこんなに大騒ぎになるんだよ。いくら親父が有名な映画監督だっつっても、ライラは普通の高校生じゃん。
「あ……あの……」
「あぁ?」
ふてくされた顔で頬杖をついていると、恐る恐る声を掛けられて、オレは不機嫌面のまま振り向いた。
「ちょっといい?」
「…………」
声の主は言うまでもなくアルだった。きっと学校に着くなり、この大騒動を知らされて、オレの事が心配になって来たんだろうが……。
「やだ」
オレはそれをきっぱりと断った。
アルが悪いんじゃないとわかっていても、どうしても腹の虫が収まらない。目の前で自分の恋人が、自分以外の人間と婚約発表されるのがどんなものか……アルはわかってないんだ。
「やだって……。話くらい聞いてくれてもいいじゃない」
「やだ。聞きたくない」
「エディー」