■オレとお前で歩く道■
□第6話『前へ進め!!』
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オレとラッセルが仲いい事にもヤキモチを妬いてしまうようだから、了承を得ようとアルに話してみたところ、多少は嫌そうな顔をしたものの、アルはすんなり許してくれた。
何でも
『兄さん一人で行かせたら危ないから』
という事だそうだ。
たかがオープンキャンパスに顔出すくらいで、何をそんな危険な目に遭うってんだ。
ここにある本館が第一志望のラッセルにとって、別館は誰かから誘われない限り、足を踏み入れる場所ではないからか、待ち合わせ時間なんかを話してるうちに、楽しみになってきた様子だった。
「本気で別館に通うつもりか?」
「んー……まだ決めてないんだけど」
学部案内のパンフレットをいくら見たところで、オレにはどの学部もピンとこないし、別に勉強が好きって訳でもない。やりたい職業も思いつかないから、どう答えていいかわからない。
「もしエドが別館に行く事になれば、あまり会えなくなるな」
「え?ああ……」
少し寂しそうに呟くラッセルに、オレも小さく頷いた。
この学校に転校してきて以来、何かと一緒にいたラッセルと、同じ大学でも違う校舎に通う事になったら、オレも寂しい。
最初の頃こそ、オレを女だと本気で信じ込んでいたラッセルを面倒臭く思ってたけど、今ではすっかり無二の親友になってしまっている。
「でも……まだ別館に通うって決めた訳じゃないし。それに、オレが別館に通う事になっても、家は結構近いんだし」
「まあな……」
「会おうと思えばいつでも会えるじゃん」
ラッセルに……と言うより、自分に言い聞かせてるような感じがした。
いつもオレの傍にいて、オレを支えてくれたラッセルと離れてしまうのは不安だ。
ラッセルとの付き合いは今年で二年目で、そんなに長い付き合いという訳でもなかったけど、短い間に確実に絆は深くなっていた。
別館は殆どが外部生だと聞くし、もしオレが別館に通う事になれば、オレの周りは知らない奴ばかりになってしまうんだろう。
この学校では偽りの姿で過ごしてきたオレだから、それを好都合だとも考えていたけど。実際知ってる人間が一人もいない学校に通う事になれば、オレの事だから確実に寂しいと思ってしまうんだろう。
「大学が違ったら友達じゃなくなる訳じゃないだろ?」
「そうだな」