■オレとお前で歩く道■
□第1話『秘密の関係』
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「ロイ?飯の時は新聞読むなって」
「わかってるよ」
何時もと変わらないありふれた風景。
でもオレは密かに内心ビクビクしていたりする。
オレの学校の教師で、アル以外に唯一オレが性別男だと知っているヒューズさん。先日そのヒューズさんにオレとアルが付き合ってるのがバレてしまった。
バレてしまったと言うより、アルが馬鹿正直に白状しちまったんだけど……。
ヒューズさんはロイとは仲がいいみたいで一度家にも来ているくらいだ。そのヒューズさんにオレ達の関係がバレたって事は、あの口の軽そうなヒューズさんに何時オレ達の関係をロイにバラされるかわかったもんじゃない。
出来ればロイには知られたくない……いや、絶対ロイには知られたくないオレは、毎日ロイの顔色を伺いながら
(まだバレてない……)
って確認してはホッとしていたりする。
「そう言えばエドワード?」
「な……何?」
「この前のお泊まりはどうだったんだ?」
「え?」
な……何動揺してんだよ、オレ……。ロイはオレがアルの家に泊まったって信じ込んでるんだ。まさかあの日、オレとアルがホテルに泊まって恋人同時の営みに勤しんでいたなんて知るよしもないんだ。
何もオレが動揺する事はない。普通に“楽しかったよ”って言っときゃいいんだっての。
「た……楽しかったよ?」
「…………そうか」
「うん……」
何だよ……その意味あり気な変な間……。
「今度は家にアルフォンスを呼んでもいいんだよ?」
「へ?」
「私もあの子には4年前に会ったきりだしな。どれくらい成長しているのかも見てみたい」
「……うん……じゃあ今度誘ってみる……」
おそらくロイは好意で言ってくれてる事なんだとは思うけど……。勘のいいロイの前では迂闊な言動は出来ないし、だからと言ってせっかく言ってくれたのに何時まで経ってもアルを連れて来ないとかえって疑われそう……。
(仲がいいのは元々知ってるんだから、そんなに気にする事じゃないよな……)
変に意識するからいけないんだ。兄弟なのに恋人同士の関係になるなんてそうある話じゃない。例えオレとアルがちょっと不自然で怪しい会話を交わしたとしても、ロイは“仲の良すぎる兄弟”ってくらいにしか思わないはずだ。