■オレとお前で歩く道■
□第10話『ドッキドキの冬休みっ☆』
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それもそのはず。別に受験するってわけじゃねーもんな。オレ達。
そりゃ大きく分けたら受験のうちに入るんだろうが、一般的に言われる受験とは、大きく異なってる受験なんだと思う。
今もラッセルが言ったけど、オレ達が受けるのは大学受験ではなく、あくまでも大学へ上がる為の進学試験。普通の大学受験とは何が違うのかっていうと、そりゃもう色々と違う……らしい。
まず一。不合格が無い。
最初にそれを聞いた時、俺は“ありえないだろっ?!”ってびっくりした。いくら内部受験だからといって、不合格が無いなんてあまりにも甘過ぎると思う。
ただし、成績次第では希望の進路には進めないそうだから、それがつまるところの“不合格”になるって事なんだろう。
そこでもう一つの相違点……って言うか、内部受験生には嬉しいオプション。その名も“追試”。
益々“何それ”って感じだけど、希望進路に進めないと発覚した生徒にも、一回だけ追試を受けれるという、甘々な制度があったりする。そんな事するくらいなら“もう上げてやれよ”って言いたくなる。
その他何か色々と違うと言うか、底抜けにフリーダムって言うか……。そりゃ緊張感なんて無くて当然ってなるんだよなぁ……。
進級試験自体は二回あって、一回目は来年一月末に行われる基本学力テストってやつ。言ってみれば、センター試験みたいなもん?
その結果により、自分の希望進路への受験資格を得られるかどうかが決まる。
そして二回目が、二月中旬に行われる本試験。この本試験では自分の希望学部から出される試験に臨み、合否の結果を待つというもの。
毎年落ちる人間はいないってほど、合格率が高いらしい。多分、重要視されてるのは本試験より基本学力テストの方なんだろう。オレには全く理解できないシステムだったりする。
「でも……来年の春にはみんないなくなっちゃうのも、ちょっと寂しいね」
言葉通り、ほんとにちょっと寂しそうな顔をして言ったのはアルだった。
それに続いて
「そうだね。春からは先輩がいなくなっちゃうんだもんね」
アル同様、オレ達の卒業後学園に取り残されるフレッチャーも、しみじみとそんな事を言う。
オレ達が卒業した後、自分達が最上級生になる事を、まだ実感できないって顔だ。