■オレとお前で歩く道■

□第5話『譲れない想い』
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 アルからぷいっと顔を背けて、窓の外に視線を移すオレに向かって、アルは自分の方を向いて欲しいと必死になる。
 わかってる……アルが悪いんじゃないのはわかってるよ……。
 アルが好きなのはこのオレだ。それは昨日の内に充分すぎるほどわからせてもらったし、オレだってアルが世界中の誰よりも好きだ。
 婚約発表なんて関係ないって思って、今まで通りにやって行く事だってできるかもしれないけど……。
 オレとアルはどう頑張っても、どんなに愛し合ってても結婚なんてできないんだ。
 オレとアルは元々一つの戸籍の中に入ってる。それはオレ達が正真正銘の兄弟だという証。血筋も性別も同じオレ達が、どんなに望んでも結婚という結末は迎えられないんだ。
 それ故に、アルが自分以外の人間と婚約発表なんかされたらショックも大きいんだと思う。
 オレとアルじゃできない事が、他の人間にならできるんだ。

「お願いだから……ボクの話も聞いてよ」
「聞きたくないっつってんだろっ!!」

 嫌だ……アルを誰にも渡したくない。アルはオレだけのものなんだ。
 だけど、誰に言ったってオレとアルが一緒にいるよりも、アルとライラが一緒になる方が当然で当たり前だって思うんだ。
 今はオレとアルのホントの関係を知らない奴ばっかりだから、オレとアルの事を気にかけて心配してくれるだろうけど、もし、オレとアルがホントは兄弟だって知ったら……。みんな手のひら返したようにアルとライラを応援するに決まってる。

「エディーってばっ!!」
「!!」

 耳を塞いで俯いてしまうオレを、いきなりアルが怒鳴りつけ、オレの腕を引っ掴むと、半ば引き摺るかのように強引に、オレを教室から連れ出した。

「ちょっ……アル……やだってばっ!!離せよっ!!」
「…………」

 今までにないくらいの強い力で引っ張られて、腕が痛い。
 その手から逃れようと、何度も抵抗を試みるが、怒ったアルの横顔は変わる事なく、オレは校舎の階段を上へ上へと昇って行く。
 やがて、屋上に出る扉が見えてきて、オレはアルに引っ張られたまま屋上に出た。

「兄さんっ!!」
「な……何だよ……」

 やっと掴んでいたオレの手を離したアルは、怖い顔のままオレを振り返り、オレは何を言われるのかと構えてしまった。
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