崩落編

□異なる歯車 −2−
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−−−俺は"アッシュ"のレプリカだよ−−−







ルークのその言葉以降から空間は静寂に支配される。
ジェイドは眼鏡に手をおき何か思案しているようで、他のメンバーは動揺によって口を閉ざしていた。

その事にルークはまた困った様に笑った、

「やだなぁ〜〜、皆真剣な顔過ぎて怖いv」

雰囲気を和らげようとしたが、あまり効果はなかった。 
 今度はアッシュが口を開き、疑問をぶつけてきた。

「いつ造られたんだ……………何のために?」


アッシュの真剣な面持ちに、最初は笑っていたルークだったが、やめて次の瞬間には射抜くような眼光を向ける………それに相手は少し息詰まった。

「…………被験者(オリジナル)であるアッシュには知る権利はある。 だけどきっと貴方は後悔するのも確か………それでも聴きたい?」

冷たく威圧する口調と自分を捕える同じ瞳にアッシュは喉を鳴らし、静かに頷いた。



「ああ………俺に関係あるモノ全て、知らないと気が済まない…………分らないからこそ、把握しなければならない事だってあるっ」

そう言い放つアッシュをしばらく見ていたルーク………負けじと見詰める相手の姿勢に軽く笑った。
どうやら納得のいく返答と態度だったようだ。


「…………わかったよアッシュ、貴方に関わる事柄全てを話そう。」




その後ルークは淡々と自分が生まれた時と動機を話した。
 7年前の誘拐で自分は造られたこと、理由はアクゼリュス崩落の預言で犠牲になる被験者の身代わりであったこと。 

途中、ヴァンが最初六神将にアッシュを迎えいれようとしていた事は伏せておいた………アッシュが父親や伯父に預言のためとはいえ、利用されていた事に頭がいっぱいであると踏んでいたため、よけいに混乱させたくない、ルークの心遣いだ。
それ以外にもヴァンがルークを選んだ理由を未だ自分自身も理解しがたいため。

皆ルークの話しに所々驚きをもらしたが、黙々と話に耳を傾けていた。


「…………父上と伯父上は預言を知っていて俺をアクゼリュスにやったのか……? 国の繁栄のために……」


か細いながらも確実に怒りと戸惑いを含んだアッシュの声が部屋の中に響き渡った。
ルークはその様子に黙って頷く………前に自分も体験したそれは、今回立場が違えども苦く辛い話題でしかなかった。

「……だから俺は貴方の代わりに造られた…………だが、ヴァンは愛情を注いだ人形を手放す事ができす、結局貴方を預言に従わせた」

        
        
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