崩落編
□過保護 −9−
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ただどうするワケもなく橋の手摺りに腕を置き、ティア達が居るであろう宿の方に眼を向けた。
今の時間ではきっとジェイドが陛下を問い詰めている最中だろうからまだ城に行く気にはなれない。
街で色々な物資を物色していたがもう大体は見終わってしまった。
得に何もすることがないので何度めかのため息をつく。 ………あまり暇過ぎるのも考えモノだ。 時間があればまたあの言葉を思い出すから、
「あっ………、」
(そういえばさっきのシンクとの会話で酷く音素の波長が乱れたような………)
そう考えると嫌に冷汗が………
だとすると回線が開いた可能性が高い………下手すると俺の記憶が流出したかもしれない…………そうだとモノ凄くマズイ。 ローレライにもデジャヴュを匂わせることは避けろと十分注意されたというのに、
(忘れさせるような事は精神的な事で、音素は関係してないから俺じゃ弄れないし………)
「はぁ、………どうしよう」
「何がだ?」
「えっと〜まあ、色い……ろ……、な…」
急な質問を普通に返そうとしたが、前にも似たケースを思い出して嫌な気がしながらも、ゆっくり振り返った。
「何してんだ?お前、」
(ヤッパリ………っ、)
頭に手をあて心底嫌そうな態度をとると、予想通り相手は睨んできた。
「俺が声をかけてやってんのに、なんだその態度っ」
「えっ、ハハ………嫌なタイミングに会ったなぁって」
正直に答えると更に眉間のシワが深くなった………うん、今更気にしないけど、
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