キリリク
□些細な願い
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清々しい青空に緑生い茂る木々、自然をいつしか堪能し心癒される2人がそこにいた………。
「いい天気だよねぇ……」
「そうだな……全てに癒されるというか、」
……………………。
「ダァアァああッ!!! やってられっか!!」
沈黙をいち早く破り、今の状況にアッシュは頭を抱え地壇だを踏んだ。
ルークはそのことを静かに見守り、少し涙を流している。
「仕方ないじゃん、アッシュも道知らないんじゃ」
「当たり前だっ! 上から落ちて道から外れたんだからな!!………ボソッ どっかの劣化野郎のせいだ」
最後の方は小さくも、もう一人にきちんと聞こえるように呟いた。
それに相手もカチンと小気味の良い音を立て、静かに口を開いた。
「走ってる目の前にどっかのデコがボーッと、つっ立ってたせいもあるんじゃない?」
ピシッ
そこで双方ともに睨み合いの攻防が始まった。
一旦ここで状況説明をしよう。
ルークはいつものパーティーを引き連れながら、次の目的地に足を進め森の中を歩いていた。
そんな中魔物に出くわし、前線を歩くルークが真っ先に狙われた。 あまりの数にひとまずルークは一度不利な体勢を立て直そうと、茂みに誘い込むため走った…………緑を突き抜けたと思いきや、突如同じ顔が目の前に出現した。
それが自分のオリジナルだとわかった時には、どちらも避ける間もなく激突した。
運悪い事にぶつかった所は崖が間近な細道だったらしく、 そのまま2人は崖から落ちていった。
下は柔らかい葉を持つ木々がクッションの役割を勤め、どちらも打撲程度で済んだ………不幸中の幸いとはこの事である。
しかし仲間達と完全はぐれ、道も見失った2人は今迷子となった。
こんな状況の説明の中でも2人の口論は止まるどころか、加速を増していた。
「屑がもう少し闘いに慎重だったら、こうならなかっただろうなっ!」
「……どっかのデコは戦闘以外にも重点置いた方がいいんじゃない?」
「−−何だと、屑っ!!」
「屑々いうなっ、デコ!!」
どちらも我慢ならず、お互いの胸倉を掴みかかり睨み合った。