キリリク

□雨の日の密会
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ザァァ……ッ、



淀んだ雲を窓縁に頬杖をつき、忌ま忌ましげに見つめるシンク。彼は基本的に雨が嫌いだ、鍛練も出来ないし暇を潰せるモノも思い付かない……………それに、


「シンク〜!」


視線を下におろし自分を呼ぶ人物を捕える。
その人物は本来の髪色を意識したような色の傘をさし、意気揚々と手を振ってくる。
ルークの嬉しそうな顔を見るのは悪くない、むしろ癒される程だ。 しかし雨の時は別で、シンクは彼の喜ぶ姿が恨めしかった……なぜなら、


「また出掛けて来るの……?」


そうルークは雨となるとブラリといなくなるのだ……まあ世話焼きなシンクには心配しないように、一応言っては行くのだが、決して場所は告げない。


「うん、髭には適当に言っといてv ちゃんと夕飯までには戻るからっ」


「……わかったよ、気をつけて行きなよ?」


おうっ、と元気良く応えるとルークの姿は雨のカーテンの中を消えていった。

また一人になった空間にため息をつき、シンクはアリエッタ達に茶会のお呼ばれされいることを思い出し、遊びに行こうと席を立った。
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