ゆめ

□へそ曲がりの恋
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「お前が好きだ」

「…へ?」


目の前にいるのは立花仙蔵先輩。
クールで、頭が良くて、優秀な六年生。
その立花先輩が。
優秀な、立花先輩が。
今、何て言った?


「だからお前が」

「ちゃんと聞こえてましたから!!」


頭がついていかない。
私を、好き?
立花先輩が?


「私、先輩は自分から告白しないタイプだと思ってました」

「はぐらかす気か?いい度胸だな」

「いえ、思ったことを正直に述べただけです」


そう言うと先輩はちょっとだけ笑った。


「そういうところも好きなんだ」

「またまた、ご冗談を…」


あはは、
私も笑って返す。

先輩の顔が真剣になった。


「私は本気だ」


その雰囲気に圧倒される。

嗚呼、どうすればいいんだ。
こういう時の対処法を、私は知らない。


「お前のことが、好きなんだ」


何度も言われて、顔に血が上るのを感じる。


「赤くなるということは、少しは気があると捉えていいのか?」

「そんな、矢継ぎ早に言われても…!」


理解が追いつきません!


「では、待ってやる」


待つ気なんてないくせに、そんなことを言うのはずるい。


「立花先輩は、あこがれの先輩で」


先輩は黙って私の話を聞いている。
目が先を促した。


「好きか嫌いかと言われたら…」


一呼吸。
告白を受ける側がこんなに緊張するものだとは知らなかった。知りたくもなかった。


「そりゃ、好きですけど…!」


先輩と視線が交わる。


「ならば問題ないな。これから大好きにさせてやる」


今日からお前は私の恋人だ。


そう言った先輩の笑顔は、今までに見たことがないくらい、とびきりだった。



実はもう、大好きなんです。










仙様はもう知ってそうですけどね。
 

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