短編


□2009 Clap
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ついにこの日が来てしまった…ッ!





『センター試験一日目 丸井の場合』





「そんなんで解けるか!この豚がッ!」


「何だとコラッ!」





ただ今センター試験の昼休み中


たまたま隣の席に座っていた同じクラスの丸井ブン太に、次の国語の解き方を伝授してもらおうとしていた


コイツはこんなド派手な風貌のくせに意外にも国語が得意だったりする




だからってちょっとアテにして聞いてみた私が馬鹿だった




「だーかーらー!まずザーッと問い読んで、んでガーッて本文読んで、バーッてマークしてきゃいいんだよ!」


「そんな擬音語ばっかりの説明じゃわかんないよ!」



どうやら丸井は誰かに説明することが苦手らしい



こんな説明でわかれって方が無理だ




「アンタよくそんなんで解けるわね…」


「ふっ…天才的〜?」


「………」




私はそんな丸井を無視して、せっせと復習に励む


丸井なんかとしゃべってたら時間の無駄だ




「おーい、急に無視すんなよぃ」


「………」


「なぁなぁ」


「………」


「…んだよ」




ちょっと邪険にすると丸井は頬杖をついてつまらなさそうに溜息をついた



これで静かになるな



そう思った矢先、丸井はまた懲りずに話しかけてきた



「なぁなぁ」


「………」


「おーい」


「あーもうッ!うるさいなぁ!!何!?」



イライラしながら丸井の方を向いた瞬間だった



口の中に何かが放り込まれた



「んっ!何これっ!?」


「ぶどう糖」


「はあ?」


「集中力高める効果があんだよ」



ニヤリと笑いながら丸井はぶどう糖の袋をブラブラさせた



「お前今まで頑張ってきただろぃ?だから集中すればだーいじょうぶ」




そう言って笑った丸井






馬鹿



アンタのせいでドキドキして、集中できそうもないってーの!




fin.

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