S-STORY
□シュナイゼル様の憂鬱
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『………ルルーシュ…私の最愛の義弟………どれだけ愛してもこの気持ちは溢れてくる………
いったい私はどれだけ君を愛せばいいんだい……?』
ルルーシュ様の憂鬱
ここはブリタニア宮殿の美しいテラスだった。
陽射しが美しくさすなか、そこには二人の皇子が楽しそうに談笑をしていた。
「ルルーシュ?どうしたんだ?やっぱりイレブンのお土産は気にいらなかったかい?」
そういって木で作られていた謎の細長い人形を持って来たのはルルーシュの義兄であるクロヴィスであった。
『クロヴィス兄上の美的センスはよくわからん……』
そう思って憂鬱そうにクロヴィスの持つ人形を受け取ったのは、このブリタニア帝国の第11皇子であるルルーシュであった。
『受け取らなかったら受け取らなかったで独りで落ち込まれるのも面倒臭いからな………』
と、ルルーシュは頭の中で考えながら一息ため息をついて
「クロヴィス兄上。私には貴方の逸脱した美的センスには理解しかねますが、お土産を買って来て下さった気持ちだけ受け取っておきます」
と、ズバーっと切って捨てた。
クロヴィスは微妙な笑顔を浮かべて「えっ……?褒めて……くれたんだよね……?」
と、顔を強張らせていた。
「勿論です。兄上」
むしろ、ルルーシュの方がキョトンとしていた。本人はいたって真面目にクロヴィスを全力で褒めたつもりだった。
そのキョトンとした表情にクロヴィスはキュンとして、ホワ〜っと違う世界に意識を飛ばしていた。
「お兄様!!!ずるいです!!!わたくしもルルーシュにお土産があるんですよ?!!!」
そういってルルーシュのもとに一人の女の子が走ってきた。
「ユーフェミア!!!」
「ルルーシュ…私とユーフェミアからのお土産だ…!気に入って貰えると嬉しい」
そうしてユーフェミアの後ろからゆったりと歩いてきたのはその姉コーネリアであった。
そしてユーフェミアが手に持っていたのは色とりどりの花束だった。
「ルルーシュのために姉上と一緒に摘んだんですよ」
「ありがとう…ユーフェミア…コーネリア姉上…」
そうしてゆったりとルルーシュが笑顔をうかべるとユーフェミアは顔を赤くしふらりと倒れそうになり、コーネリアはユーフェミアを支えながら恥ずかしそうに顔を背けた。
そういって4人が談笑をしていると、
「お兄様…?」
と、小鳥が鳴くようなかわいらしい声が聞こえた。
そこには生れつき身体に障害を持ってうまれてきてしまったルルーシュ最愛の妹であるナナリーがいた。
「ナナリー!!!どうしたんだい?!身体は大丈夫なのか?!」
そういってルルーシュはナナリーの車椅子に近づいた。
「今日はとてもいい天気でしたので外に出ても良いとお母様がおっしゃったんです……あ、それと今日お母様と一緒にお菓子を作ったんですよ?是非みなさんに食べて頂きたくって持って来たんですが……」
ナナリーは膝の上にのっていたクッキーをルルーシュに渡した。
ナナリーのクッキーを見たルルーシュはうっすらと涙を浮かべながら「ナナリー…目が見えないというのに危険を侵してまで俺の為にクッキーを焼いてくれるなんて………!!!」
そんな大袈裟な……!!!
と誰もが突っ込みたくなったが、ルルーシュはいたって本気なので勿論誰も突っ込みをいれることが出来なかった。
「ふふ…お兄様ったら大袈裟ですね。でも嬉しいです」
そういって笑うナナリーを見るルルーシュはそれはそれは美しい笑顔をうかべていた。
その顔を見た兄弟たちは心臓を打ち抜かれるような衝撃を受けてふらふらと倒れていったが、ルルーシュとナナリーには全く見えていなかった。
するとナナリーの後ろから誰かが現れる気配がした。ふとルルーシュが見上げるとそこにはブリタニア第2皇子であるシュナイゼルが立っていた。
「関心しないな……ルルーシュ……私以外の兄弟にそんな美しい笑顔を向けるなんて………」
そうポツリとつぶやくとルルーシュはまるで乙女のように顔を紅くし恥じらって、シュナイゼルから顔を背けた。
「これは雲行きが怪しくなってきたな………」
眉間にシワを寄せながら、コーネリアに大きな不安が走った。
そして兄弟達を安全な宮の方へとさりげなく誘導していった。
ユーフェミアとクロヴィスは若干駄々をこねたがシュナイゼルのオーラにただならぬ気配を感じたのか、最後には大人しくコーネリアについていった。