S-STORY
□真っ赤な糸
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ガラスの空に
台風が来てるってさ
すごい風だろ
ある午後の晴れた一日。ナナリーが検査入院のため、俺とスザクはナナリーを病院に送っていった。
その後、クラブハウスでスザクに御礼の夕ご飯をご馳走する予定だった。
午後のクラブハウスでは、俺が夕ご飯の支度をしていた。スザクは、邪魔になるからリビングに追いやって夕方やっていたニュースを見ていた。
「ルルーシュ!ルルーシュ!」
リビングからスザクの声が響く。
「なんだスザク?二回も呼ばなくても聞こえてるぞ!」
俺が少し怒った感じに答えるとスザクは少し照れたように笑い、もう一度俺を呼びよせた。
「ルルーシュ。さっきのニュースで明日台風がくるって言ってたよ?明日はナナリーを迎えに行く日だろ?一人で大丈夫かい?」
スザクが心配そうに尋ねてくる。俺はスザクは本当に心配症だと思った。
「明日はさよこさんが来てくれるし、もしもの時は俺がナナリーを抱えて帰るから「ルルーシュは非力だから無理だよ!!!明日は何か理由をつけて軍を休むから僕が付いていくよ!!」
前言撤回!!
「っ!非力だとぉ!!俺はあんなに軽いナナリーなら普通に姫抱きぐらい出来るぞ!!それに…仕事をそう簡単に休んでいいわけないだろう?」
軍という俺にとっては嫌でしかない仕事だが、仕事は仕事。命に関わらないとしても、スザクにはちゃんとメリハリをつけて欲しかった。
それに自分達の事で、これ以上迷惑をかけたくなかったのも事実だった。
「ルルーシュ……っ。……じゃあ君がナナリーを抱っこ出来なくなったら僕を呼んで?すっ飛んで来るから!」
そうやってスザクは俺にまっすぐな笑顔を見せてくれる。
きっとスザクを呼ぶことはないけれど、俺は心からスザクの申し出がうれしかった。
「ありがとう。スザク」
たとえ俺が嘘をついていたとしても……
それだけで
ほら
笑う理由になる
二人だよ