悪魔泣番編
□遠い記憶
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鬱蒼とした森の中。
初夏の日差しを浴びながら、賑やかに走り抜ける小さな銀がふたつ。
ゆっくりとふたつの銀の後を見守りつつ歩く大きな銀がひとつ。
「バージル〜遅いぞ〜!」
「っ…手加減してるんだい!!」
小さな二つの銀はこの森に住む小さな双子の男の子、バージルとダンテです。見た目は全く一緒なのに、性格は天と地ほど違いました。
ダンテはやんちゃで生傷の絶えない活発な男の子。バージルは物静かで本を読むのが大好きな男の子でした。
「うっそつけ〜!!本ばっか読んでるから遅いんだ〜い!!!
こっこまっでおいで〜っだ!!べろべろば〜っ!!!」
おどけた仕草で"お尻ぺんぺん&あっかんべー"するダンテの姿は、それはそれは憎たらしいものでした。
物静かではありますが、沸点激低のバージル君。
怒髪天。
瞬時に怒りのパワーが最高点に達します。
「むむ〜…だー―――いっ!!!!!」
どすどすざくざく
「!痛ったぁい!!!うわぁーーーん!おとおさぁん、痛いよぉーーー!
何か、刺さったぁっ!!!」
ちびバージル。なんと怒りのあまり、産まれて初めて幻影剣を発動させてしまいました。
青白い剣は小さいながらも立派な破壊力でした。
ダンテは血まみれです。
出した張本人がその技と威力に一番びっくりして、泣きじゃくるダンテの横で棒立ちになってしまいました。
下唇を噛み締めて立ち尽くす兄。尻餅をついて天を仰いで泣きじゃくる弟。
そんな二人の許に大きな銀が到着しました。
双子のお父さんです。
お父さんは、二千年前に人間界を悪魔達の侵略から守ったという伝説の大悪魔、スパーダでした。