◇御題小説

□家族
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僕が目を開けたとき、高松の笑顔が視界いっぱいに広がっていた。
裁縫は終わったみたいで、高松の膝を枕にウサギのぬいぐるみを抱いていた。ぬいぐるみの頭と体はきれいにくっついていて、ピンクのリボンが結ばれている。

「ありがとう。高松」
「どういたしまして。直すのは簡単なことですから、いつでも仰ってくださいね」
「うん」

僕が笑うと、高松も笑う。
高松が笑ったら、僕だって笑う。

高松は「高松」だけど、僕の大好きな家族。

まだ高松と離れたくなくて、黒い髪をくいと引っ張った。子供っぽいと思われたって構わないから、もう少しだけ一緒にいてほしい。
高松にはそれが伝わったみたいで。
僕の手をとると、優しく口付ける。

「高松は王子さまみたい」
「…それでは、お姫さまはグンマ様ですか?」
「違うよ。僕だって王子さまになるんだもん」
「あっ…そうですか…」

かくんと肩を落として、高松は苦笑い。
王子さまが二人もいるなんて、やっぱりおかしいのかな。

「高松は僕が刺されちゃったら、治してくれる?」

何となく口にした質問に高松は一瞬驚いて、すぐににこって笑い返した。

「人形より大変そうですが、やってみます。安心してください」
「ふぅん」

一言ひとこと選ぶような返答を、欠伸を抑えながら聞く。

「だからといって、無茶なことして怪我をしないでくださいね。大切なお体なんですから」
「んん…」

高松がぽんぽんと僕の髪を撫でた。
それで僕は目を瞑り。

「楽しい夢を見ましょうね」

ウサギをぎゅっと抱いた。

見れるよ。楽しい夢。
僕と高松が手を握って、仲良し家族になる夢。

高松、大好き。
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