◇御題小説

□ゼリービーンズ
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午後の作業中、俺たちは仕事の話以外は一言も言葉を交わさなかった。
互いのデスクで黙々とパソコンに情報を入力し続ける、事務的な行為。本来はこれが俺たちのあるべき姿なのだが、俺の心は不安でいっぱいだ。

笑うよ。

あの言葉の意図は何だ?
グンマのことだから、俺に心配を掛けまいとしての一言だろうか。
いや、違う気がする。
俺にはあの一言に封じ込めたアイツの本心があるような、とても重い言葉だと思われてならなかった。
単なる思い過しだといいが。

俺が再び仕事に集中しだしたとき、ぽつりとグンマが呟いた。
独り言だろう。
アイツのことを気に掛けてなかったら、聞き流したはずの呟き。
俺は全身が凍る心地がした。
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