◇御題小説

□ピクニック
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大好きな高松ともっともっと仲良くなりたいから、彼をピクニックに誘った。思えばいつも彼に任せきりで、僕自身が物事を進めたことなんて片手で数えるほどしかない。
とにかく僕は妥協を許さず、最高のプランを練った。

空気の澄んだ森林公園で、待ちに待った二人きりの時間。彼をエスコートするため事前に調べた情報をもとに、広大な景色を眺めてアスレチックで遊んで湖で鴨を追い掛けて。
太陽が真上に上ったころには、僕たちはレジャーシートの上に打ち上げられた魚のようにぐったりしていた。

「高松がブランコ思いっきり押すから、酔っちゃったよ」
「申し訳ありません…嬉しくて、つい」
「つい、で鼻血降らせないでよ〜!びっくりしたんだからね」
「なるべく抑えます」
「…ま、いいんだけどさ」

にこりと笑いかけて起き上がり、リュックサックをあさる。

「今日は特別にプレゼントがありまーす!」
「な、何ですって!?グンマ様が私に熱いキスをプレゼント!」
「言ってないから」

僕は笑みを崩さずに勿体ぶりながらゆっくりとそれを探す。
その間子犬のようにじっと僕を見つめる二つの従順な瞳。黒い深い純粋な宝石。

こんなこと言ったら皆に笑われるだろうけど。
高松って可愛い。
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