◇御題小説

□ひだまり
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ぽかぽかぽか。

一面の青空に、熱く輝くバニラアイスが見える。ここがお菓子の国なら、あの青色はさしずめダイキュリーアイス。
そんなことをぼんやり考えながら、僕は独りきりの日向ぼっこで大あくびをした。
からっとした夏の風が、さぁぁぁっと深緑の大地を撫で、それを囲む木々からは儚い蝉の大合唱が聞こえる。短い命を泣いているのかな。
僕は寝転がっている青色シートの上でごろごろと寝返りをうって、暇だと唸った。
確かにね、森林浴は心地いいけど、たった独りきりじゃつまらないよ。
シンちゃんやキンちゃんやお父様や高松がいないと、どんなに楽しいこともへにゃへにゃーって枯れていくんだ。
淋しいからポケットを漁って飴を取り出し口に放る。甘い甘いお菓子はせめてもの僕の救いで、高松がきらさないように毎日お菓子箱を確認してくれる。
わかってるんだ、彼は。このお菓子の意味を。

ぽかぽかぽか。

でも、皆忙しいのは仕方のないことだから、勝手気儘に日向ぼっこできる身なんて、恨めしく思われるよね。

だからお互い様だよ。
これが僕の理屈。
僕だってちゃんとわかってるんだから。
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